
『 いわゆる悪ーー攻撃の自然誌 』
1963
生物学
名著の概要
ジャンル
[
"科学",
"西洋科学",
"生物学"
]
テーマ
行動学
概要
本書は、比較行動学の立場から脊椎動物における《攻撃本能》といわれるものに新しい角度から光を当て、世界中に大きな反響をまき起こした。
目次
内容
さんご礁を中心とした美しい世界で展開される色とりどりの魚たちの激しい種内闘争のスケッチから筆を起こし、さまざまの典型的な攻撃的行動を観察し、同一種族間に行なわれる攻撃は、それ自体としては決して《悪》ではなく、種を維持する働きをもっていることを示す。
つづいて本能の生理学一般、特に攻撃本能の生理学について詳細な考察を行ない、さらに攻撃本能が儀式化される過程を興味深い実例によって述べる。
最後に、種が変化するにつれて、攻撃を無害なものとするためにどのような仕組みが《編みだされ》てきたか、儀式はここでどのような役割をひき受けるか、またこうして生まれた行動様式が、《文明をもつ》人間の行動様式とどれほどよく似ているかが、実例を通して具体的に示される。
そしてたとえば、ひとりの生物学者が火星から人類をみたらこうもあろうかというふうに、人類の置かれている現在の状況が客観的に描かれるのである。

コンラート・ローレンツ
オーストリア
著者の概要
ジャンル
[
"科学",
"西洋科学",
"生物学"
]
著者紹介
オーストリアの動物行動学者。
刷り込みの研究者で、近代動物行動学を確立した人物のひとりとして知られる。
ローレンツの最も大きな功績は、動物行動の観察という当時は軽視されていた古典的な手法を厳密に用い、科学の名に値するものに仕立てたことである。生理学・解剖学などからはわからない、動物の行動を直接研究する分野が生まれることになった。
その中で特に有名なのはニシコクマルガラスやハイイロガンの観察研究である。自ら様々な動物を飼育し、解剖したり傷つけたりするような実験は好まなかった。刷り込み現象の発見は、自らのハイイロガンの雛に母親と間違われた体験に端を発したものである。