たけくらべ
『 たけくらべ 』
樋口一葉
1896
近代日本文学

名著の概要

ジャンル

[ "文学", "日本文学", "近代日本文学" ]

テーマ

恋 哀愁

概要

『文学界』で連載。一葉の代表作であるばかりでなく,明治文学の中でも,もっとも完成度の高い短編の一つ。吉原遊郭という特殊な環境の風物と人情をちりばめながら、少年少女の美しくも哀れな性の目ざめを描き、写実と抒情のとけあうみごとな世界を築いている。

目次

内容

吉原の遊女を姉に持つ勝気な少女美登利は、豊富な小遣いで子供たちの女王様のような存在だった。対して龍華寺僧侶の息子信如は、俗物的な父を恥じる内向的な少年である。二人は同じ学校に通っているが、運動会の日、美登利が信如にハンカチを差し出したことで皆から囃し立てられる。 夏に開催される千束神社の祭りでの表町組(美登利と信如のけんかで、美登利は乱暴者長吉に恥ずかしめられたが、長吉の後ろには信如がいると誤解し、以後、彼女と信如とは疎遠になる。美登利の姉は遊女で、彼女もやがてその「跡継ぎ」を約束されており、信如は生ぐさ和尚の息子で、彼も出家になる運命である。美登利は、自分でも無意識だったが、実は信如に心ひかれていた。やがて彼女は初潮を迎え、女らしくなったが、「ある霜の朝」彼女の家の門に「水仙の造り花」が差し入れられた。信如が僧となる日だった。 精妙な心理小説で哀愁がただよう不朽の名作。
樋口一葉
樋口一葉
日本

著者の概要

ジャンル

[ "文学", "近代日本文学", "日本文学" ]

著者紹介

中島歌子に歌、古典を学び、半井桃水に小説を学ぶ。生活に苦しみながら、「たけくらべ」、「にごりえ」、「十三夜」といった秀作を発表、文壇から絶賛される。わずか1年半でこれらの作品を送った。没後に発表された『一葉日記』も高い評価を受けている。