アイデンティティとライフサイクル
『 アイデンティティとライフサイクル 』
エリク・H・エリクソン
1959
西洋現代心理学

名著の概要

ジャンル

[ "心理学", "西洋心理学", "西洋現代心理学", "現代心理学" ]

テーマ

人間の発達について アイデンティティとは

概要

アイデンティティ概念の提唱者として広く知られるエリクソンの著書。人格の発達を8段階のライフサイクルで促え、各発達段階に簡潔な要約を与えながら、個人のライフサイクルを超え、世代から世代へのサイクルも視野にいれ展開される論旨は、歴史的人間への理解の深さを示す。

目次

内容

ティーンエイジャーは、職業、性的役割、政治、文化、宗教によってアイデンティティを獲得しなければならない。 エリクソンはアイデンティティ危機(identity crisis)またはアイデンティティ拡散(Identity diffusion)という言葉を作り出したとされている。 各発達段階でもそれぞれの危機があるが、特に幼児期から成人期への移行を指している。「これまでも幼児期から少年期までの間に、多くのアイデンティティが形成されてきたが、青少年のアイデンティティーにおけるニーズはそれらでは満たされない」ために、この段階が必要となっている。 ヒトの発達におけるこのターニングポイントは、「どういったヒトとして育ったか」と「社会から望まれているヒト」との和解であるとされる。 この新しい自己意識は、過去の経験をもとに、未来を見据えて鋳造しなおすことによって産まれる。8つの発達段階全体おいて、青年期である第5段階は交差ポイントとなっている。 青少年らは、「しばしば潜在的には敵対的なこの世界と接する中で、個人の境界線を再確立し、これを行う必要性に直面している」。これは特定のアイデンティティ役割が形成される前の状態のうちから、コミットメントするよう社会から求められる状態なので、それは大抵困難となりうる。 その状態は「アイデンティティ混乱(identity confusion)」とされるが、しかし社会は通常、青少年が「自分自身を見つける」ために猶予を与えるので、この状態を「モラトリアム(moratorium)」と呼ぶ(心理社会的モラトリアム)。
エリク・H・エリクソン
エリク・H・エリクソン
アメリカ

著者の概要

ジャンル

[ "心理学", "西洋心理学", "西洋現代心理学", "現代心理学" ]

著者紹介

アメリカ合衆国の発達心理学者で、精神分析家。 「アイデンティティ」の概念、エリクソンの心理社会的発達理論を提唱し、米国で最も影響力のあった精神分析家の一人とされる。