オリエンタリズム
『 イスラム報道 』
サイード
1981
西洋現代社会学

名著の概要

ジャンル

[ "社会学", "西洋社会学", "西洋現代社会学" ]

テーマ

報道について イスラムについて

概要

あご髭のムスリム=テロリスト。アメリカは一面的な報道によりイスラムをいかに暴力的存在として表象してきたか。メディアに現われるフィクションとしてのイスラムのあり方を問う、現代の古典。

目次

内容

「私は、ムスリムがイスラームの名によってイスラエル人や西洋人を攻撃したり傷つけたりしたことがない、などと言っているのではない。私が語っているのは、人がイスラームについてメディアを通して読んだり見たりすることのほとんどが、侵略行為はイスラームに由来するものであり、なぜなら〈イスラーム〉とはそういうものだからだと表象されている、ということである。その結果、現地の具体的なさまざまな状況は忘却される。言い換えれば、イスラームについて報道するということは、〈我々〉が何をしているかを曖昧にする一方で、このように欠陥だらけのムスリムやアラブ人とは何者であるかに脚光を当てる一面的な活動なのである」 『オリエンタリズム』の著者が、西洋(=アメリカ)のメディアに現れるフィクションとしての「イスラム」を描き、アクチュアルな問題を本書を通して世に問うたのは、1981年のことだった。そして現在、この傾向はますます振幅をきわめ、CNNを中心に放映されるイスラムの映像は、無批判のかたちで日本のテレビでも流され、あご髭のムスリム=テロリストという表象は、われわれの脳裏に刻まれている。 第1章 ニュースとしてのイスラム(イスラムと西洋世界;解釈の社会集団;「王女」エピソードの背景) 第2章 イラン報道(聖なる戦い;イラン喪失;未検証の隠された仮説;もうひとつの別の国) 第3章 知識と権力(イスラム解釈の政治学:正統的知識とアンチテーゼ的知識;知識と解釈)
サイード
サイード
アメリカ

著者の概要

ジャンル

[ "社会学", "西洋社会学", "西洋現代社会学", "哲学", "西洋哲学", "西洋現代哲学", "歴史学", "西洋歴史学", "西洋現代歴史学", "西洋近現代歴史学" ]

著者紹介

パレスチナ系アメリカ人の文学研究者、文学批評家。 サイードはオリエンタリズムの理論で最もよく知られている。彼は著書『オリエンタリズム』(1978年)において、西洋におけるアジアや中東への誤った、またはロマンチックに飾り立てられたイメージの長い伝統が、ヨーロッパやアメリカの植民地主義的・帝国主義的な野望の隠れた正当化として作用してきたと主張し、オリエンタリズムの理論を打ち立てるとともにポストコロニアル理論を確立した。サイードはオリエントとオクシデントのいずれのイメージも不要と考えて批判を行ない、論争を引き起こした。 また、ノーム・チョムスキーらとともにアメリカの外交政策を批判し、アメリカ国内で最大のパレスチナ人とアラブ人の擁護者として発言を続けた。同い年の大江健三郎を評価していた。