『 イデーン 』
1913
西洋現代哲学
名著の概要
ジャンル
[
"哲学",
"西洋哲学",
"西洋現代哲学"
]
テーマ
論理学について
現象学について
認識について
学問について
概要
『イデーン』では学問の意図を体系的、実証的に展開した。『イデーン』第1巻において、先に説明した「現象学的還元」の構想が確立された。本書では現象学的還元によって現象の本質があらわにされ、絶対的な認識を得ることができるという方法論が述べられている。
目次
内容
さらに現象学を発展させるためには、意識を自我の心理作用として解釈する心理学的な「一つの解釈」を前提にしていることtに対して、すべての解釈を遮断する必要がある。その方法として「現象学的還元」を、また現象学的還元を方法として得られる個々の純粋現象の本質構造を明らかにする方法として「本質直感」が必要となるとするに至った。
現象学的還元とは、世界関心を抑制し、対象に関するすべての判断や理論を禁止する(このような態度をエポケーという)ことで、意識を純粋な理性機能として取り出す方法
である。
また、現象学的還元によって得られた純粋な意識は、それでもなお指向性をもっており、それを分解するために、意識の自我が感覚与件をとらえようとする動きを「ノエシス」、意識によって捉えられた限りの対象を「ノエマ」と呼び区分した。
そのうえで、本質的直感とは、知覚された個別の対象をモデルとして、それを超えて諸対象に共通の普遍的な本質を取り出して、「原本的に与える」直感とされる。
これによって、事象そのものの観察から普遍的な法則が得られるとする。
つまり、現象学的還元によって得られた志向的諸体験のノエシス/ノエマ的類型的構造の本質を直感するところにより記述すると、現象学的還元によっていったんは遮断された自然的世界及びすべての理念的諸世界の対象を純粋意識が自分の中で「世界意味」として構成することになる。このような純粋意識は、すべてを超え出た「超越論的に純粋な意識」ないし「超越論的意識」と呼ばれ、以上のような反省を得た「超越論的現象学」は、デカルト以来の二元論の持つ問題、主観的な認識主体が自己を超え出た客観的世界をどのように認識し得るのかという難問を解決した上で、正しく認識論的に基礎づけることによってあらゆる諸学の基礎付けるものとなるのである。
フッサール
オーストリア
著者の概要
ジャンル
[
"哲学",
"西洋哲学",
"西洋現代哲学"
]
著者紹介
オーストリアの哲学者、数学者。
初めは数学基礎論の研究者であったが、ブレンターノの影響を受け、哲学の側からの諸学問の基礎付けへと関心を移し、全く新しい対象へのアプローチの方法として「現象学」を提唱するに至る。
現象学は20世紀哲学の新たな流れとなり、マルティン・ハイデッガー、ジャン=ポール・サルトル、モーリス・メルロー=ポンティらの後継者を生み出して現象学運動となり、学問のみならず政治や芸術にまで影響を与えた。