『 オリエンタリズム 』
1978
西洋現代社会学
名著の概要
ジャンル
[
"社会学",
"西洋社会学",
"西洋現代社会学",
"哲学",
"西洋哲学",
"西洋現代哲学",
"歴史学",
"西洋歴史学",
"西洋現代歴史学",
"西洋近現代歴史学"
]
テーマ
オリエンタリズムとは何か
概要
西洋におけるアジアや中東への誤った、またはロマンチックに飾り立てられたイメージの長い伝統が、ヨーロッパやアメリカの植民地主義的・帝国主義的な野望の隠れた正当化として作用してきたと主張し、オリエンタリズムの理論を打ち立てるとともにポストコロニアル理論を確立した名著。
目次
内容
サイードは、オリエンタリズムという語に複数の意味を与え、それらは相互依存関係にあるとした。主な意味あいとして、次の3つをあげている。
1.学問に関係する意味
2.東洋と西洋とされるものの間に設けられた区分
3.オリエントを支配し再構成し威圧するための西洋の様式
オリエンタリズムの本質を見極める上で、ミシェル・フーコーが用いた言説(ディスクール)の概念が有効だとしている。学術的な言説が帝国的制度と結びつくことを、サイードはナポレオン・ボナパルトのエジプト遠征から現代のアメリカにおける制度化までを例に論じる。
・戦略的位置選定によるオリエンタリズム
戦略的位置選定とは、著述家が東洋を取り上げた場合に、著述家自身がテクストの中でいかなる位置を占めているかを記述する手法。オリエンタリズムには空間的、現象的、歴史的な多義性があるが、これらの多義性は、著述家が東洋を外在的なものとして語る点で共通しているとする。
・戦略的編成によるオリエンタリズム
戦略的編成とは、テクストが文化の中で参照能力を増してゆく過程と、テクスト本体との関係を分析する手法。西洋におけるオリエントの社会や文化に対する見解には、後進性についての無意識的な確信があると指摘した。さらに、西洋列強のオリエンタリズムに基づいた学問的・実践的な知識が、権力と密接に関連しながら東洋に対する西洋の支配関係をもたらしていると論じた。
サイード
アメリカ
著者の概要
ジャンル
[
"社会学",
"西洋社会学",
"西洋現代社会学",
"哲学",
"西洋哲学",
"西洋現代哲学",
"歴史学",
"西洋歴史学",
"西洋現代歴史学",
"西洋近現代歴史学"
]
著者紹介
パレスチナ系アメリカ人の文学研究者、文学批評家。
サイードはオリエンタリズムの理論で最もよく知られている。彼は著書『オリエンタリズム』(1978年)において、西洋におけるアジアや中東への誤った、またはロマンチックに飾り立てられたイメージの長い伝統が、ヨーロッパやアメリカの植民地主義的・帝国主義的な野望の隠れた正当化として作用してきたと主張し、オリエンタリズムの理論を打ち立てるとともにポストコロニアル理論を確立した。サイードはオリエントとオクシデントのいずれのイメージも不要と考えて批判を行ない、論争を引き起こした。
また、ノーム・チョムスキーらとともにアメリカの外交政策を批判し、アメリカ国内で最大のパレスチナ人とアラブ人の擁護者として発言を続けた。同い年の大江健三郎を評価していた。