『 カリギュラ 』
1944
現代フランス文学
名著の概要
ジャンル
[
"文学",
"西洋文学",
"現代文学",
"西洋現代文学",
"フランス文学",
"現代フランス文学"
]
テーマ
不条理文学
人生の意味
戯曲
歴史をモチーフにした戯曲
概要
アルベール・カミュによる、暴君として知られた実在のローマ帝国第3代皇帝、カリギュラの生涯を描いた戯曲。実在のカリギュラという人物に、カミュの不条理哲学が投影された作品。
目次
内容
実在のローマ帝国第3代皇帝のカリギュラの生涯を描いた戯曲。理想的な君主と称されていたカリギュラは、最愛の妹であり愛人であったドリュジラを失い豹変してしまう。歴史に名を残す圧政を敷き、民衆を苦しめ、気に入らない臣下を処刑し、さらに自らもグロテスクな仮装をして乱痴気騒ぎをするといったことを続ける。カミュはこのカリギュラの歴史的な事実に、自らの哲学を投影する。カリギュラがおかしな行動を取っている理由は、表面的には最愛の妹の死によるショックであるが、カリギュラは内面的には、妹の死という不条理と向き合い、打ちのめされ、自らが不条理を作り出す側に回ることで、不条理な世界との均衡を図ろうとしている…
カミュの作品世界を貫く思想から、多様な解釈を読み出すことのできる、優れた戯曲である。
アルベール・カミュ
フランス
著者の概要
ジャンル
[
"文学",
"西洋文学",
"西洋現代文学",
"フランス文学",
"現代フランス文学",
"不条理文学"
]
著者紹介
フランスの小説家、劇作家、哲学者。フランス領アルジェリア出身。第二次世界大戦中に刊行された小説『異邦人』、エッセイ『シーシュポスの神話』などで「不条理」の哲学を打ち出して注目され、戦後はレジスタンスにおける戦闘的なジャーナリストとして活躍した。また『カリギュラ』『誤解』などを上演し、劇作家としても活動した。
戦後に発表した小説『ペスト』はベストセラーとなり、エッセイ『反抗的人間(フランス語版、英語版)』において左翼全体主義を批判し、反響を呼んだ。小説『転落』発表の翌年、1957年、史上2番目の若さでノーベル文学賞を受賞した。
カミュの著作は「不条理」という概念によって特徴付けられている。カミュの言う不条理とは、明晰な理性を保ったまま世界に対峙するときに現れる不合理性のことであり、そのような不条理な運命を目をそむけず見つめ続ける態度が「反抗」と呼ばれる。そして人間性を脅かすものに対する反抗の態度が人々の間で連帯を生むとされる。
カミュの文学的営為は、病気、死、災禍、殺人、テロ、戦争、全体主義など、人間を襲う不条理な暴力との闘いだった。それに対して、彼は一貫してキリスト教や左翼革命思想のような上位審級を拒否し、超越的価値に依存することなく、人間の地平にとどまって生の意味を探しもとめた。彼は「父」としての「神」も、その代理人としての「歴史」も拒否した。
日本で活動するタレントのセイン・カミュは従孫(兄の孫)にあたる。