コーラン
『 コーラン 』
ムハンマド
7世紀
経典

名著の概要

ジャンル

[ "宗教学", "西洋宗教学", "経典", "イスラム教経典", "主要宗教学" ]

テーマ

コーラン

概要

イスラム教(イスラーム)の聖典である。イスラームの信仰では、唯一無二の神(アッラーフ)から最後の預言者に任命されたムハンマドに対して下された啓示と位置付けられている。ムハンマドの生前に多くの書記によって記録され、死後にまとめられた現在の形は全てで114章からなる。

目次

内容

クルアーンは、読誦して音韻を踏むように書かれている。「クルアーン」という名称はアラビア語で「詠唱すべきもの」を意味し、アラビア語では正確には定冠詞を伴って「アル=クルアーン」と呼ばれる。 全てで114の章(スーラ)からなり、スーラは節(アーヤ)に分かれている。各章はムハンマドに下されたひとつひとつの啓示である。 コーランの章を時期別に大きく三つに区分することができる。第1期はムハンマドが初めてアッラーフの啓示を受けてからの初期段階、第2期は大衆への伝道を進め、メッカにおける迫害が厳しくなった時期、第3段階はヒジュラ(ムハンマドがメッカの迫害を逃れてメディナへ遷都したこと)以降の啓示である。 それぞれの特色を述べると、第1期は啓示が押し並べて短い。この時期はムハンマド自身がイスラームの境地を見出そうとしているときであり、信奉者もごく少数の身内が主であった。初めてアッラーフの言葉を聞いた当初のものとされるコーランの記述を見ると、ムハンマドのアッラーフの言葉へ対する畏怖の念が強く出ているのが興味深い。啓示も神の創造と世界の終末を厳かに語り、アッラーフの権威付けを行っている。そして詩的で力強い。 第2期の特徴としては、約80章もの啓示が下り、分量が多いことと、内容が説話的であるということである。ただし、旧約聖書や新約聖書に比べると、コーランはストーリー性を重視していないきらいがあり、かなり端折ったりしている。このころになると一般大衆の信奉者が増え、危機感を持ったクライシュ族の迫害が始まる。ここで改めてイスラームの正当性を主張し、ムスリムの結束を呼びかけているのである。 第3期の特徴としては、一章あたりの啓示が長いこと。内容としては法制的で、イスラーム社会の規律についてしきりに述べている。クライシュ族の迫害を逃れ、メディナに逃れると、クライシュ族や現地のユダヤ教徒との対抗の必要上、イスラームの共同体であるウンマがここで形成される。そこで信徒の生活に深く介入し、きわめて政治的な啓示が述べられているのである。
ムハンマド
ムハンマド
イスラム

著者の概要

ジャンル

[ "宗教学", "東洋宗教学", "経典", "イスラム経典", "主要宗教学" ]

著者紹介

イスラム教の開祖、軍事指導者、政治家。アラビア半島中西部、ヒジャーズ地方の中心都市メッカの支配部族であるクライシュ族出身で、その名門ハーシム家のひとり。イスラム教では、モーセ(ムーサー)、イエス(イーサー)その他に続く、最後にして最高の預言者(ナビー)でありかつ使徒(ラスール)とみなされている。また世俗君主・軍人としても有能であり、アラビア半島にイスラム国家を打ち立てた。