シーシュポスの神話
『 シーシュポスの神話 』
アルベール・カミュ
1942
現代フランス文学

名著の概要

ジャンル

[ "文学", "西洋文学", "現代文学", "西洋現代文学", "フランス文学", "現代フランス文学" ]

テーマ

不条理文学 ニヒリズム 人生の意味 哲学 随筆

概要

アルベール・カミュによる随筆作品。ギリシャ神話のシーシュポスの逸話から、カミュの哲学・作品世界についての深い哲学的洞察がなされている。『ペスト』『異邦人』などの著作を読み解く上での必読書。

目次

内容

ギリシャ神話のシーシュポスの逸話を元に、カミュの作品世界を貫く不条理の哲学を探求した随筆。シーシュポスの逸話とは、以下のようなものである。 テッサリア王アイオロスとエナレテーの息子であるシーシュポスは、神々を二度も欺いた罪で神々の怒りを買い、大岩を山の上まで運び、大岩が頂上から転がり落ちたらまた運び直すという繰り返しを罰として命じられた。 このシーシュポスの逸話は、欧米文化圏においては「徒労の繰り返し」の代名詞になっているが、カミュはこの逸話をモチーフに、生まれては死んでいく繰り返しであるのみの人間の人生はシーシュポスの罰と同じであると喝破し、その不条理の中でもなお生き続ける意味とは何か、不条理な人生をどのように生きうるのかを剔抉した名著である。カミュの他の著書である『ペスト』や『異邦人』を深く読み解くためにも必読の書と言える。
アルベール・カミュ
アルベール・カミュ
フランス

著者の概要

ジャンル

[ "文学", "西洋文学", "西洋現代文学", "フランス文学", "現代フランス文学", "不条理文学" ]

著者紹介

フランスの小説家、劇作家、哲学者。フランス領アルジェリア出身。第二次世界大戦中に刊行された小説『異邦人』、エッセイ『シーシュポスの神話』などで「不条理」の哲学を打ち出して注目され、戦後はレジスタンスにおける戦闘的なジャーナリストとして活躍した。また『カリギュラ』『誤解』などを上演し、劇作家としても活動した。 戦後に発表した小説『ペスト』はベストセラーとなり、エッセイ『反抗的人間(フランス語版、英語版)』において左翼全体主義を批判し、反響を呼んだ。小説『転落』発表の翌年、1957年、史上2番目の若さでノーベル文学賞を受賞した。 カミュの著作は「不条理」という概念によって特徴付けられている。カミュの言う不条理とは、明晰な理性を保ったまま世界に対峙するときに現れる不合理性のことであり、そのような不条理な運命を目をそむけず見つめ続ける態度が「反抗」と呼ばれる。そして人間性を脅かすものに対する反抗の態度が人々の間で連帯を生むとされる。 カミュの文学的営為は、病気、死、災禍、殺人、テロ、戦争、全体主義など、人間を襲う不条理な暴力との闘いだった。それに対して、彼は一貫してキリスト教や左翼革命思想のような上位審級を拒否し、超越的価値に依存することなく、人間の地平にとどまって生の意味を探しもとめた。彼は「父」としての「神」も、その代理人としての「歴史」も拒否した。 日本で活動するタレントのセイン・カミュは従孫(兄の孫)にあたる。