ヒューベリオン
『 ヒュペーリオン 』
フリードリヒ・ヘルダーリン
1799
近世ドイツ文学

名著の概要

ジャンル

[ "文学", "近代文学", "近代ドイツ文学" ]

テーマ

絶望 情熱 生

概要

ギリシャの一青年が祖国解放戦争や女性への愛などを経て祖国の自然に目覚めるまでを描く物語である。ヘルダーリンの唯一の小説作品。フリードリヒ・ニーチェは青年時代に本作品を愛読しており、『ツァラトゥストラかく語りき』にも影響を与えている。

目次

内容

第一部は主人公のヒュペーリオンがドイツの友人に宛てた手紙という形を取る。 第二部は同じ友人への手紙や恋人ディオティーマへの手紙から成っている。 青年ヒュペーリオンは教師や友人との出会いから祖国ギリシャの歴史に目覚め、またギリシア的な美を体現する女性ディオティーマに情熱的な愛をささげる。そして恋人の制止を振り切ってトルコの圧制から祖国を救うため解放戦争に参加し戦果を収めるが、民衆の暴挙に失望し、その後の負傷によって軍役を退く。 しかし帰国する頃には恋人ディオティーマは彼への思いがもとで死去していた。絶望に陥った彼は祖国を出てドイツに旅するが、ここでも文化の荒廃を目にしたことから、祖国の自然とともに生きる決意をして帰郷する。
フリードリヒ・ヘルダーリン
フリードリヒ・ヘルダーリン
ドイツ

著者の概要

ジャンル

[ "文学", "近代文学", "近代ドイツ文学", "詩" ]

著者紹介

ドイツの詩人、思想家。テュービンゲン大学で神学生としてヘーゲル、シェリングとともに哲学を学ぶ。卒業後は神職にはつかず各地で家庭教師をしながら詩作を行い、書簡体小説『ヒュペーリオン』や多数の賛歌、頌歌を含む詩を執筆したが、30代で統合失調症を患いその後人生の半分を塔の中で過ごした。 生前はロマン派からの評価を受けたものの大きな名声は得られなかったが、古代ギリシアへの傾倒から生まれた汎神論的な文学世界はロマン主義、象徴主義の詩人によって読み継がれ、またニーチェ、ハイデッガーら思想家にも強い影響を与えた。