『 プラグマティズム 』
1907
西洋現代哲学
名著の概要
ジャンル
[
"哲学",
"西洋哲学",
"西洋現代哲学"
]
テーマ
プラグマティズムとは何か
新しい哲学
思考について
概要
本書『プラグマティズム』はジェームズの哲学的な代表作の一つであり、8回の講義録の形式でまとめられたもの。哲学史は理性や原則を重視するものと経験を重視するものとの二つの気質から大別することが可能であり、ジェームズはこの二者択一の状況のために現代哲学が袋小路に陥っているという認識を示している。この現状を打開することができる態度こそが「媒介的態度」であり、それがプラグマティズムであると論じる。
目次
内容
ジェームズは哲学史を概観しながら、相容れない脆弱型精神と強靭型精神の二種類の気質から哲学史の思想を区別できると指摘する。脆弱型精神は理性や原則を重視し、楽天的で宗教的で独断的な特徴を備えているが、逆に強靭型精神は経験や事実を重視し、悲観的で反宗教的で懐疑的な特徴を備えていると考える。哲学史はこのような二つの気質から大別することが可能であり、ジェームズはこの二者択一の状況のために現代哲学が袋小路に陥っているという認識を示している。
この現状を打開することができる態度こそが「媒介的態度」であり、それがプラグマティズムであると論じる
プラグマティズムとは、思想の意味を理解するためにはその思想がもたらす行動こそが全ての意味であると考えるものとする。
また、事実に対する思考法とは、人間の経験を経て維持されてきた枠組みであり、その思考の産物こそが常識であると定義する。
常識は事物を理解する上で効率よく思考を達成するものである。ただし常識が完全に永遠のものとは言えず、そこに理論の意義が認められる。ジェームズにとって理論とは神聖不可侵の様式を持った神秘的な謎に対する啓示ではなく、実在に対する適用の様式である。
そして、プラグマティズムにとって真理とは信用制度により確立されており、信念や思想が反発されない限りはそれは真理として妥当であると考える。思想が実際に合致するならばそれは真理であり、真理の役割とは現実に思考を方向付ける過程にあるものとする。
ウィリアム・ジェームズ
アメリカ
著者の概要
ジャンル
[
"哲学",
"西洋哲学",
"西洋現代哲学",
"心理学",
"西洋心理学",
"近代心理学",
"宗教学",
"西洋宗教学",
"宗教論"
]
著者紹介
アメリカ合衆国の哲学者、心理学者である。意識の流れの理論を提唱し、ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』など、アメリカ文学にも影響を与えた。パースやデューイと並ぶプラグマティストの代表として知られている。
日本の哲学者、西田幾多郎の「純粋経験論」に示唆を与えるなど、日本の近代哲学の発展にも少なからぬ影響を及ぼした。夏目漱石も、影響を受けていることが知られている。後の認知心理学における記憶の理論、トランスパーソナル心理学に通じる『宗教的経験の諸相』など、様々な影響をもたらしている。