『 一枚起請文 』
1212
その他仏教関連
名著の概要
ジャンル
[
"宗教学",
"東洋宗教学",
"仏教",
"その他仏教"
]
テーマ
法然の遺言
概要
日常勤行で読まれる法然の「一枚起請文」は、死の直前に書かれ、浄土宗の教えの要である称名念仏の意味、心構え、態度について、簡潔に説明している。
目次
内容
唐土(もろこし)我朝(わがちょう)にもろもろの智者達の沙汰し申さるる観念の念にもあらず。
又学問をして念のこころを悟りて申す念仏にもあらず。
ただ往生極楽のためには、南無阿弥陀仏と申して、
うたがいなく往生するぞと思い取りて申す外には別の仔細(しさい)候(そうら)わず。
ただし三心(さんじん)四修(ししゅ)と申すことの候(そうろ)うは、皆決定(けつじょう)して
南無阿弥陀仏にて往生するぞと思ううちにこもり候うなり。
この外に奥ふかき事を存ぜば、二尊のあわれみにはずれ、本願にもれ候(そうろ)うべし。
念仏を信ぜん人は、たとい一代の法をよくよく学(がく)すとも、一文不知の愚鈍の身になして、
尼入道(あまにゅうどう)の無智のともがらに同じうして、
智者(ちしゃ)のふるまいをせずしてただ一向に念仏すべし。
証の為に両手印をもってす。
浄土宗の安心起行この一紙に至極せり。源空が所存、この外に全く別義(べつぎ)を存ぜず、
滅後(めつご)の邪義(じゃぎ)をふせがんがために所存をしるし畢(おわ)んぬ。
法然
日本
著者の概要
ジャンル
[
"宗教学",
"東洋宗教学",
"鎌倉仏教経典",
"仏教",
"仏教経典",
"その他仏教"
]
著者紹介
平安時代末期から鎌倉時代初期の日本の僧である。
はじめ山門(比叡山)で天台宗の教学を学び、承安5年(1175年)、専ら阿弥陀仏の誓いを信じ「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えれば、死後は平等に往生できるという専修念仏の教えを説き、のちに浄土宗の開祖と仰がれた。
『選択本願念仏集』(『選択集』)を著すなど、念仏を体系化したことにより、日本における称名念仏の元祖と称される。
日本仏教史上初めて、一般の女性にひろく布教をおこなったのも法然であり、かれは国家権力との関係を断ちきり、個人の救済に専念する姿勢を示した