『 人口論 』
1798
古典派
名著の概要
ジャンル
[
"経済学",
"西洋経済学",
"西洋近代経済学",
"古典派"
]
テーマ
人口について
貧困について
概要
古典派経済学を代表する経済学者で、過少消費説、有効需要論を唱えた人物として知られる。『人口論』を執筆した当時、イギリスではフランスとの戦争やフランス革命の影響で救貧法や社会改良による貧困や道徳的退廃の改善の実現が議論されていたマルサスは人口の原理を示すことで主張しようとした。
目次
内容
まずマルサスは基本的な二個の自明である前提を置くことから始める。
第一に食糧(生活資源)が人類の生存に必要である。
第二に異性間の情欲は必ず存在する。
この二つの前提から導き出される考察として、マルサスは人口の増加が生活資源を生産する土地の能力よりも不等に大きいと主張し、人口は制限されなければ幾何級数的に増加するが生活資源は算術級数的にしか増加しないので、生活資源は必ず不足する、という帰結を導く。
そのうえで、人口の抑制をしなかった場合、食糧不足で餓死に至ることもあるが、それは人間自身の責任でありこれらの人に生存権が与えられなくなるのは当然のことであるとする。そして、人口を統計学的に考察した結果、「予防的抑制」と「抑圧的抑制」の二つの制御装置の考え方に到った。そのため、戦争、貧困、飢饉は人口抑制のためによいとする。これらの人を社会は救済できないし、救済すべきでないとマルサスは考えた。
これらマルサスによる生存権の否定は、ジャーナリストのウィリアム・コベットなどから人道に反すると批判を受けた。
なお、マルサスの思想は後のチャールズ・ダーウィンの進化論を強力に支える思想となった。
ジョン・メイナード・ケインズはマルサスについて「もしリカードではなくマルサスが19世紀の経済学の根幹をなしていたなら、今日の世界ははるかに賢明で、富裕な場所になっていたに違いない。ロバート・マルサスは、ケンブリッジ学派の始祖である」と評価している。
マルサス
イギリス
著者の概要
ジャンル
[
"経済学",
"西洋経済学",
"古典派",
"西洋近代経済学"
]
著者紹介
イギリスの経済学者。古典派経済学を代表する経済学者で、過少消費説、有効需要論を唱えた人物として知られる。
1798年に匿名で小冊子の主著『人口論』を著し、この中で「幾何級数的に増加する人口と算術級数的に増加する食糧の差により人口過剰、すなわち貧困が発生する。これは必然であり、社会制度の改良では回避され得ない」とする見方(「マルサスの罠」)を提唱した。