人生の短さについて
『 人生の短さについて 』
セネカ
60年頃
古代ギリシア・ローマ哲学

名著の概要

ジャンル

[ "哲学", "西洋哲学", "西洋古代哲学", "古代ギリシア・ローマ哲学" ]

テーマ

人生について 時間について

概要

本書「人生の短さについて」は時間の大切さがテーマ。人生は短いと嘆く人間は多いが、それは、その人が短くしているからだ、とセネカは言う。無意味なことにかまけていると、人生などあっという間に過ぎ去ってしまう、自分自身と向き合おうともしないで、年老いてから、まっとうな生き方をしようとしても手遅れなのだ、と述べる。人生の意味は「世界を知り、英知を学び、そこに付け足すことである」と説く。

目次

内容

セネカの代表作である本書は、ローマ帝国の食料管理官であったパウリヌスにあてて綴られている。パウリヌスの仕事は重職で多忙だったため、セネカは職を辞して時間の無駄遣いを改めるように勧めている。 セネカの言う時間の無駄遣いとは、自分自身と向き合うことを避け、あえて多忙な生活を送ること。そのような時間からは退屈と倦怠しか生まれないと批判する。 「われわれは短い人生を受けているのではなく、われわれがそれを短くしているのである。」 「生きることから最も遠く離れているのが多忙な人間だ。生きることを知るのはなによりも難しいことなのだ。 ひとは、互いの時間を奪い合い、互いの平穏を破り合い、互いを不幸にしている。そんなことをしているうちは、人生にはなんの実りも、なんの喜びも、なんの心の進歩もない。」 「あらゆる世俗的な営みから離れて生きる人の人生は、たとえどんなに短くとも、十分に満ち足りている。だからこそ賢者は、いつ最期の日が訪れようとも、ためらうことなく死に向かっていくだろう。」 「一万人のうちで、英知に専念する者のみが暇のある人であり、このような者のみが生きていると言うべきである。それは、彼らが単に自己の生涯を立派に守っているからだけではない。彼らはあらゆる時代を自己の時代に付け加える。彼ら以前に過ぎ去った年月は、ことごとく彼らに付加されている。われわれがひどい恩知らずでないかぎり、かの聖なる見識を築いてくれた最もすぐれた人たちは、われわれのために生まれたのであり、われわれのために人生を用意してくれた人々であることを知るであろう。」
セネカ
セネカ
古代ローマ

著者の概要

ジャンル

[ "哲学", "西洋哲学", "西洋古代哲学", "古代ギリシア・ローマ哲学" ]

著者紹介

ユリウス・クラウディウス朝時代(紀元前27年 - 紀元後68年)のローマ帝国の政治家、哲学者、詩人。 ルキウス・アンナエウス・セネカ (プラド美術館) 父親の大セネカ(マルクス・アンナエウス・セネカ)と区別するため小セネカ(Seneca minor)とも呼ばれる。第5代ローマ皇帝ネロの幼少期の家庭教師としても知られ、また治世初期にはブレーンとして支えた。ストア派哲学者としても著名で、多くの悲劇・著作を記し、ラテン文学の白銀期を代表する人物と位置付けられる。