代議制統治論
『 代議制統治論 』
ジョン・スチュアート・ミル
1861
西洋近代政治学

名著の概要

ジャンル

[ "政治学", "西洋政治学", "西洋近代政治学" ]

テーマ

統治について 政治体制について

概要

本書の内容は統治形態が卓越している基準、適用可能な社会的条件、代議制の危険性について触れた後に、選挙や投票の方法、議会の制度的枠組みなどについて論考している。

目次

内容

ミルはまず優れた統治制度を選択するために三つの基本的条件を提示している。統治の対象となる国民はその統治制度を受容することに同意していなければならず、さらに統治制度を維持するために積極的に行動する意思と手段を持ち、しかも国民は統治制度のために自己抑制しなければならない。 この三つの条件の範囲内でのみ統治制度は選択することが可能である。しかし統治の本来の目的とは社会の秩序や進歩に関わり、これらの機能に応じて統治制度は設計されなければならない。その上でミルは最も理想的な統治形態が代議制の統治であることを主張している。 絶対的な政治権力を個人に委ねる統治形態よりもむしろ、共同社会の全ての構成員に政治権力が保持されている統治形態が好ましいと考えられる。なぜならば、繁栄の程度とはそれに貢献する諸個人の活力の程度と多様性に比例し、また全ての人々の権利とは利害関係者が自分自身で守ることができることが不可欠であると考えられるためである。そのために小さな権限であっても公的職務に市民たちが参加することと、投票を通じて可能な限り幅広い人々が統治に参加する代議制でなければならない。 ミルはこの著作で、比例代表制の一種である単記移譲式投票を支持している。
ジョン・スチュアート・ミル
ジョン・スチュアート・ミル
イギリス

著者の概要

ジャンル

[ "哲学", "西洋哲学", "西洋近代哲学", "経済学", "西洋経済学", "西洋近代経済学", "古典派", "政治学", "西洋政治学", "西洋近代政治学" ]

著者紹介

イギリスの哲学者。政治哲学者、経済思想家でもあり、政治哲学においては自由主義・リバタリアニズムのみならず社会民主主義の思潮にも多大な影響を与えた。晩年は自ら社会主義者を名乗っている。倫理学においてはベンサムの唱えた功利主義の擁護者として知られる他、論理学分野においてはバートランド・ラッセルら後続の分析哲学にも強い影響を与え、初期科学哲学の重要な哲学者として知られる。