『 判断力批判 』
1790
西洋近代哲学
名著の概要
ジャンル
[
"哲学",
"西洋哲学",
"西洋近代哲学"
]
テーマ
判断力について
概要
上級理性能力のひとつである判断力の統制的使用の批判を主題とする判断力に理性と感性を調和的に媒介する能力を認め、これが実践理性の象徴としての道徳的理想、神へ人間を向かわせる機縁となることを説く。 同時代の哲学や芸術理論に影響を与えただけでなく 美学、目的論、自然哲学においては現代も読まれる古典的大著である。
目次
美学的判断力の批判
美学的判断力の分析論
美の分析論
趣味判断の第一様式 - 「性質」
趣味判断の第二様式 - 「分量」
趣味判断の第三様式 - 目的の「関係」
趣味判断の第四様式 - 対象の「様態」
崇高の分析論
数学的崇高について
力学的崇高について
美的判断論の弁証論
目的論的判断力の批判
目的論的判断力の分析論
目的論的判断力の弁証論
内容
経験(現象界)と理念(叡智界)を媒介する能力として判断力が研究され、第一部では美学目的論が、第二部では自然目的論が展開される。
純粋な趣味判断は、感覚様式における純粋な形式を把握する。善とは異なり、美は概念および関心をもたない愉悦の対象である。美の判断においては想像力と悟性とは一致する。これに対し崇高においては想像力と理性との間には矛盾がある。
自然目的の概念は、構成に適した物質を適所に組み入れる。有機物においては何ものも無駄でない。また例えば一本の木は種族あるいは個体として自己を生産する。自然の所産においての目的の原理は、自然の特殊な法則を探究するための発見的原理である。全自然の理念は、原因はつねに目的論的に判断されねばならないという課題を課すものである。
美はいわば道徳的なるものの象徴である。道徳的本質としての人間の現存は、みずからに最高の目的そのものをもつ。神の概念を見出したのは理性の道徳的原理であり、神の現存の内的な道徳的目的規定は、最高原因性を思惟すべきことを指示して自然認識を補足するものである。
イマヌエル・カント
ドイツ
著者の概要
ジャンル
[
"哲学",
"西洋哲学",
"西洋近代哲学",
"宗教学",
"西洋宗教学",
"宗教論"
]
著者紹介
プロイセン王国(ドイツ)の哲学者。『純粋理性批判』、『実践理性批判』、『判断力批判』の三批判書を発表し批判哲学を提唱した。フィヒテ、シェリング、そしてヘーゲルへと続くドイツ古典主義哲学(ドイツ観念論哲学)の祖とされる。彼が定めた超越論哲学の枠組みは、以後の西洋哲学全体に強い影響を及ぼしている。
「批判 」とは、理性・悟性・感性・判断力からなる人間の認識能力の限界と能力を確定し、それぞれに相応しい役割を規定する企てである。
『純粋理性批判』では人間の認識が必ず感性と悟性によって媒介されており、経験的認識において理性は直接的に作用しないという、理性の限界が確定される。
『実践理性批判』では、経験的認識において能力が限界づけられた当の理性が人間の道徳性の根幹をなす能力を持ち、そこにこそ理性の可能性が秘められているということが明らかにされる。
『判断力批判』では経験(現象界)と理念(叡智界)を媒介する能力として判断力が研究され、第一部では美学目的論が、第二部では自然目的論が展開される。