反デューリング論
『 反デューリング論 』
エンゲルス
1878
西洋近代哲学

名著の概要

ジャンル

[ "哲学", "西洋哲学", "西洋近代哲学" ]

テーマ

社会主義とは 共産主義とは

概要

哲学、経済学、社会主義の全領域にわたってマルクス主義の世界観を初めて包括的に叙述したものとして『共産党宣言』や『資本論』と並ぶ重要な古典的著作

目次

内容

序論においてヘーゲルの弁証法が総論として整理され、観念論の克服と唯物論への転換の重要性が指摘されている。序論の後半部分はデューリングの野心と活動への敵意が表明され、彼の学説に対する宣戦布告となっている。 次いで、第一編では自然科学分野への関心に留まらず、法や道徳、真理、平等や自由といった精神哲学の分野に踏み込んだ見解を提示していった。後半は道徳ならびに法哲学が論じられた。 エンゲルスはデューリングの未熟な価値観を紹介しながら、道徳や真理は時代とともに歴史的に形成されるもので、固定的な万世不易の代物ではないと論じた。 最後に弁証法理論が紹介されている。ヘーゲルの弁証法が総論として整理され、弁証法の核心部分が提示されている。物質や生物の世界で弁証法がどのように展開しているかを例示しながら、弁証法が1)「量から質への転化、ないしその逆の転化」、2)「対立物の相互浸透(統一)」、3)「否定の否定」の三つの構成要素から成り立っていることを明らかにしたのである。 第二編では社会科学の領域に踏み込み経済学を中心に、デューリングが重視した「暴力」や「経済」という切り口から人類社会における政治、階級、奴隷制、国家、軍国主義が次々と論じられていく。私有制の発達から奴隷制や資本主義的階級制度の起源が論じられ、暴力による原初的秩序の形成というデューリングの見解が批判されていく。 エンゲルスは、人類史における抑圧は経済システムの中核部分に存在する所有形態に起因するものであり、経済要因によって政治的支配の形態が変動していくという唯物史観の理論を紹介した。 最後に、第三編では社会主義思想の登場と発展を歴史的理論的な側面から概説がなされている。 マルクスはヘーゲル主義から弁証法を批判的に取り入れ、唯物論と結合させることにより、唯物弁証法に基づく歴史理論―史的唯物論を確立した。エンゲルスは、経済学的アプローチから資本主義の盛衰と社会主義の到来の必然性をマルクスが論じたことにより、科学的社会主義がついに確立を見たのだと論じた
エンゲルス
エンゲルス
ドイツ

著者の概要

ジャンル

[ "哲学", "西洋哲学", "西洋近代哲学" ]

著者紹介

ドイツの社会思想家、政治思想家、ジャーナリスト、実業家、共産主義者、軍事評論家、革命家、国際的な労働運動の指導者。 盟友であるカール・マルクスと協力して科学的社会主義の世界観を構築し、労働者階級の歴史的使命を明らかにした。マルクスを公私にわたり支え、世界の労働運動、革命運動、共産主義運動の発展に指導的な役割を果たした。