夢十夜
『 夢十夜 』
夏目漱石
1908
近代日本文学

名著の概要

ジャンル

[ "文学", "東洋文学", "日本文学", "近代日本文学" ]

テーマ

言語化できないモノ 罪悪感 不安 幻想

概要

現在(明治)を始め、神代・鎌倉・100年後と、10の不思議な夢の世界を綴る。「こんな夢を見た」という書き出しが有名。漱石としては珍しい幻想文学のテイストが濃い作品で、答えのでないもの、言語化できないものをも描こうとする小説。

目次

内容

「夢」という荒唐無稽なものの中に、合理では説明できないような深い真実が隠されているのではないか。 漱石は、今まで築き上げていった文体をいったん手放すように夢を素材とした小説を書き連ねていく。そこには、期せずにして、日本文化と西欧文化に間で引き裂かれた漱石の葛藤や、明治という時代がもつ欠陥が浮かび上がってくる。それとともに、この作品は、私たちに対して、人生においてどうしても言語化できない「不可解なもの」「答えのでないもの」への向き合い方を教えてくれる。
夏目漱石
夏目漱石
日本

著者の概要

ジャンル

[ "文学", "東洋文学", "日本文学", "近代日本文学" ]

著者紹介

代表作は『吾輩は猫である』『坊っちゃん』『こゝろ』など。明治の文豪として日本の千円紙幣の肖像にもなった。 江戸の牛込馬場下横町(現在の東京都新宿区喜久井町)出身。大学時代に正岡子規と出会い、俳句を学ぶ。帝国大学(のちの東京帝国大学、現在の東京大学)英文科卒業後、松山で愛媛県尋常中学校教師、熊本で第五高等学校教授などを務めたあと、イギリスへ留学。帰国後は東京帝国大学講師として英文学を講じ、講義録には『文学論』がある。 講師の傍ら『吾輩は猫である』を雑誌『ホトトギス』に発表。これが評判になり『坊っちゃん』『倫敦塔』などを書く。その後朝日新聞社に入社し、『虞美人草』『三四郎』などを掲載。当初は余裕派と呼ばれた。「修善寺の大患」後は、『行人』『こゝろ』『硝子戸の中』などを執筆。「則天去私(そくてんきょし)」の境地に達したといわれる。晩年は胃潰瘍に悩まされ、『明暗』が絶筆となった。