大著作(小著作)
『 大著作(小著作) 』
ロジャ―・ベーコン
1268
その他科学

名著の概要

ジャンル

[ "科学", "西洋科学", "その他科学" ]

テーマ

神学 哲学 言語 数学 光学 化学 天文学

概要

彼の『大著作』では数学、光学、化学に関する記述が含まれ、宇宙の規模についてまで言及されている。さらに驚くべきことにベーコンは後世において顕微鏡、望遠鏡、飛行機や蒸気船が発明されることまで予想している。理論だけでなく経験知や実験観察を重視したので近代科学の先駆的著書といわれる。なお、小著作は大著作の骨子をまとめたもの。

目次

内容

本書の、第一部では、真実の追求を誤らす四つの原因をあげ、アリストテレス等の既成の権威によりかかること、習慣からくる先入観に固執すること、大衆の意見におもねること、見せかけの知識をふりかざして自分の無知をかくすこと等を挙げている。 第二部は、神学と哲学について。 第三部は正確に原典を読み、訳すための言語研究。 第四部は数学で、自然学がその命題を数学的形式(彼の場合は幾何学ですが)で表現出来なければ完全ではないと主張している。 第五部は光学でここで彼はグローステスト、アルハゼン、プトレマイオスとユークリッドの業績をもとに、レンズの光学、特にその像の拡大作用-めがね-光の屈折に基づいて研究している。 また彼は凹面鏡についても述べ、顕微鏡や望遠鏡の発明を予測する様な文章を書いている。 第六部では、科学研究に於ける実験の重要性について述べ、その様な方法を用いることによって-現在の飛行機、自動車、汽船、潜水艦の様な機械を作ることができるであろうと述べている。 これは彼の非凡な想像力を示すもので、科学研究は実験によって行われ数学的に演練されるべきという考え方は驚くべき近代性で、この意味では彼は優に5世紀は進んでいたと。 しかし、彼の著作は印刷術発明以後も、部分的に出版されたのみで、長期にわたって彼の真価は無視されて来た。
ロジャ―・ベーコン
ロジャ―・ベーコン
イギリス

著者の概要

ジャンル

[ "科学", "西洋科学", "その他科学" ]

著者紹介

「驚嘆的博士」(Doctor Mirabilis)とよばれた13世紀イギリスの哲学者。 カトリック司祭で、当時としては珍しく理論だけでなく経験知や実験観察を重視したので近代科学の先駆者といわれる。 著作の中で、ベーコンは神学研究の改革を提唱している。スコラ学のような概念の詳細な区分に集中することをやめてもっと聖書そのものを研究すべきだと考えたのである。 ベーコンは当時としては先駆的な思想であったが、研究者たちに聖書の原典の言葉、ギリシア語、ヘブライ語を学ぶことを求めた。ベーコン自身は数ヶ国語に精通し、当時の聖書やギリシア哲学の書が誤写と誤訳によってオリジナルからかけはなれていることを嘆いていた。そして神学学習者たちに対して、もっと広く諸学問を学ぶことを求め、大学のカリキュラムの改革が必要であると考えた。 ベーコンは神学や学問においてただただ先人に追随することを否定した。彼の『大著作』では数学、光学、化学に関する記述が含まれ、宇宙の規模についてまで言及されている。さらに驚くべきことにベーコンは後世において顕微鏡、望遠鏡、飛行機や蒸気船が発明されることまで予想している。 また、宇宙の運行が人間の運命と心身に影響すると考えていた。どれを見てもその先見性には驚きを禁じえないが、ベーコンは他にもユリウス暦の問題点を指摘し、アイザック・ニュートンより400年も早く水の入ったグラスにおいて光のスペクトルを観測していた。 彼は当時世界の最先端にあったアラビア科学と哲学に親しんでおり、近代科学を先取りして経験と観察の重要性を強調した。ベーコンには百科事典を作る構想があったようだが、未完に終わったのか断片しか残されていない。