失敗の本質
『 失敗の本質 』
日本の研究者6名(戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎)
1984
日本現代政治学

名著の概要

ジャンル

[ "政治学", "東洋政治学", "日本政治学", "日本現代政治学", "経営学", "組織論" ]

テーマ

組織論 日本論 太平洋戦争の失敗について

概要

サブタイトルは、日本軍の組織論的研究。大東亜戦争での諸作戦の失敗を、組織としての日本軍の失敗ととらえ直し、これを現代の組織一般にとっての教訓とした戦史の初めての社会科学的分析を行った学術書。

目次

内容

社会科学面での旧日本軍の戦史研究。分析対象はノモンハン事件と、太平洋戦争におけるミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ沖海戦、沖縄戦。第二次世界大戦前後の「大日本帝国の主要な失敗策」を通じ、日本軍が敗戦した原因を追究すると同時に、歴史研究(軍事史)と組織論を組み合わせた学際的研究書である。 大前提として「大東亜戦争は客観的に見て、最初から勝てない戦争」であったとする。それでも各作戦においてはもっと良い勝ち方、負け方があるのではないか、というのが著者たちの考え方である。各作戦は失敗の連続であったが、それは日本軍の組織特性によるのではないかと考えた。「戦い方」の失敗を研究することを通して、「組織としての日本軍の遺産を批判的に継承もしくは拒絶」することが出版の主目的であった。本書では現在の日本の組織も抱える日本組織の特徴とその本質的欠点を旧日本軍を通じて明らかにする。 結論では、日本軍は環境に過度に適応し、官僚的組織原理と属人ネットワークで行動し、学習棄却(かつて学んだ知識を捨てた上での学び直し)を通して、自己革新と軍事的合理性の追求が出来なかったとした。 戦史研究(事例研究)を中心とする防衛大学校研究者と、野中郁次郎などの組織論研究者(帰納法の思考に重点を置く)との、両者の共同研究によって生まれた。 2010年(平成22年)には勝間和代氏、2012年(平成24年)には新浪剛史氏(現・サントリー社長)が本書を推薦している。また東京都知事の小池百合子氏は2016年に本書を「座右の書」として称賛(9月23日記者会見)、文庫版の帯に小池氏の写真と推薦コピーがあしらわれたこともある。 なお、2017年(平成29年)時点で、中公文庫版では70万部に達している。
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日本の研究者6名(戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎)
日本

著者の概要

ジャンル

[ "政治学", "東洋政治学", "日本政治学", "日本現代政治学", "経営学", "組織論" ]

著者紹介

戸部良一 - 防衛大学校助教授、国際日本文化研究センター教授(2009年 - 2014年)、帝京大学教授(2014年 - 2019年)。 寺本義也 - 明治学院大学教授、現在は早稲田大学商学学術院教授。 鎌田伸一 - 防衛大学校助教授、防衛大学校教授(1990年 - )。 杉之尾孝生 - 防衛大学校助教授、防衛大学校教授( - 2001年)。 村井友秀 - 防衛大学校助教授、防衛大学校教授・図書館長(2007-2010)、2015年退官。現在は東京国際大学教授。 野中郁次郎 - 一橋大学教授(研究は防衛大学校教授時代)、富士通総研理事長(2010年 - )。