孫氏
『 孫子 』
孫武
紀元前500年
武経七書

名著の概要

ジャンル

[ "歴史学", "東洋歴史学", "中国歴史学", "武経七書", "兵法書" ]

テーマ

戦争について 戦略について 戦術について

概要

武経七書の一つ。古今東西の兵法書のうち最も著名なものの一つである。戦略書。 『孫子』以前は、『尉繚子』天官編、『李衛公問対』陰陽術数編などのように戦争の勝敗は天運に左右されるという考え方が強かった。孫武は戦争の記録を分析・研究し、勝敗は運ではなく人為によることを知り、勝利を得るための指針を理論化して、本書で後世に残そうとした。

目次

内容

全般的特徴 非好戦的 - 戦争を簡単に起こすことや、長期戦による国力消耗を戒める。この点について 老子思想との類縁性を指摘する研究もある。「百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」(謀攻篇) 現実主義 - 緻密な観察眼に基づき、戦争の様々な様相を区別し、それに対応した記述を行う。「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」(謀攻篇) 主導権の重視 - 「善く攻むる者には、敵、其の守る所を知らず。善く守る者は、敵、其の攻むる所を知らず」(虚実篇) 戦略 『孫子』戦略論の特色は、「廟算」の重視にある。廟算とは開戦の前に廟堂(祖先祭祀の霊廟)で行われる軍議のことで、「算」とは敵味方の実情分析と比較を指す。では廟算とは敵味方の何を比較するのか。それは、 道 - 為政者と民とが一致団結するような政治や教化のあり方 天 - 天候などの自然 地 - 地形 将 - 戦争指導者の力量 法 - 軍の制度・軍規 の「五事」である。より具体的には以下の「七計」によって判断する。 敵味方、どちらの君主が人心を把握しているか。 将軍はどちらが優秀な人材であるか。 天の利・地の利はどちらの軍に有利か。 軍規はどちらがより厳格に守られているか。 軍隊はどちらが強力か。 兵卒の訓練は、どちらがよりなされているか。 信賞必罰はどちらがより明確に守られているか。 以上のような要素を戦前に比較し、十分な勝算が見込めるときに兵を起こすべきとする。
孫武
孫武
中国

著者の概要

ジャンル

[ "歴史学", "東洋歴史学", "武経七書", "中国歴史学", "兵法書" ]

著者紹介

中国古代・春秋時代の武将・軍事思想家。兵法書『孫子』の作者とされており、兵家の代表的人物。 「戦わずして勝つ」という戦略思想、戦闘の防勢主義と短期決戦主義、またスパイの重要視など、軍事研究において戦略や戦術、情報戦など幅広い領域で業績を顕し、ベイジル・リデル=ハート、毛沢東など、現代の軍事研究者、軍事指導者にも重要な思想的影響を与えた。その軍事思想は航空技術や核兵器など、古代に想定できなかった軍事技術の発展した数千年後の現代においても有効性を失わず、今なお研究対象とされている。