『 宗教的経験の諸相 』
1901
宗教論
名著の概要
ジャンル
[
"哲学",
"宗教学",
"西洋宗教学",
"宗教論"
]
テーマ
宗教とは何か
概要
宗教の本質を、個人に対して生じる特殊な経験とみなし、教会をはじめとした制度的宗教や神学論争を派生的なものとして扱った。
目次
内容
哲学の主張する客観的捉え方での存在観を認めつつも、それはあくまで個々人の宗教観に理論付けをするという二義的なもので、各々の個人が生きる経験的で自己中心的な世界観こそ世界における唯一の場である。
そして、すべての宗教が合流する一点にあるのは、「不安感」と「その解決」である。個人が抱える不安感はより「高いもの」の存在を意識し、それに触れることで救われる。これがすべての宗教が内包する核である。
この「高いもの」との合一の感覚が神秘主義の目指すところであるが、この高いものに含まれ、高いものが自己自身と感ずることで自己実現が果たされる。
「高いもの」の存在は心理学が認める「潜在意識」として捉えることができる。潜在意識と意識は不離分の関係にありつつも、潜在意識はより広域で永続的であり意識を支配する。このことは、高次のものとの合一を求める宗教的な行動が客観的にも真であることをみとめさせることができる。
この意味で、宗教的な経験がより健全に人が在ることの要因になる。
ウィリアム・ジェームズ
アメリカ
著者の概要
ジャンル
[
"哲学",
"西洋哲学",
"西洋現代哲学",
"心理学",
"西洋心理学",
"近代心理学",
"宗教学",
"西洋宗教学",
"宗教論"
]
著者紹介
アメリカ合衆国の哲学者、心理学者である。意識の流れの理論を提唱し、ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』など、アメリカ文学にも影響を与えた。パースやデューイと並ぶプラグマティストの代表として知られている。
日本の哲学者、西田幾多郎の「純粋経験論」に示唆を与えるなど、日本の近代哲学の発展にも少なからぬ影響を及ぼした。夏目漱石も、影響を受けていることが知られている。後の認知心理学における記憶の理論、トランスパーソナル心理学に通じる『宗教的経験の諸相』など、様々な影響をもたらしている。