実証精神論
『 実証精神論 』
オーギュスト・コント
1844
西洋近代社会学

名著の概要

ジャンル

[ "社会学", "西洋社会学", "西洋近代社会学", "哲学", "西洋哲学", "西洋近代哲学" ]

テーマ

精神について 三段階の法則 社会学について

概要

『実証哲学講義』のコンパクトな解説書として、「社会学の父」オーギュスト・コントによって刊行された著作である。本書は歴史哲学(科学史)・科学哲学(科学方法論)・総合社会学(社会構造論と社会変動論)の理論構想を対象にして、コントが打ち立てた実証主義の概要を広めるため書かれた。

目次

内容

三段階の法則を提唱したことで知られている。 三段階の法則とはあらゆる概念や知識が三つの段階を経ることを論じたものである。 コントによれば人間の精神はこれまで神学的段階、形而上学的段階を経て実証的段階となり、これら段階はそれぞれ特徴的な思考様式を持っている。 まず神学的段階ではあらゆる知識は宗教的、神学的な観点から直接的な意欲によって説明される。 形而上学的段階では抽象化と人格化が行われ、客体として説明されている。 そして実証的段階では事物の観察に基づいて現象は一般的法則によって説明されるのである。 このような段階を経て新しい人間の知性の発展段階を捉えた上で、コントは科学の分類を行う。 コントはこの分類が諸現象の比較によって求められた一般的な事実の表現であることが必要だと考えていた。 コントは序列化によって第一に数学、第二に天文学、第三に物理学、第四に化学、第五に生物学、第六に社会学を据えた。ここでの社会学はコントが初めて呼称した呼び方であり、社会学は秩序としての社会静学と発展としての社会動学があり、前者は有機体としての社会を研究し、後者は三段階の法則に従って発展してきた社会発展を研究する学問と位置づけている。 社会発展についてコントは神学的段階では社会は軍事的段階にあり、形而上学的段階では法律的段階、実証的段階では産業的段階にあると考えていた。
オーギュスト・コント
オーギュスト・コント
フランス

著者の概要

ジャンル

[ "社会学", "西洋社会学", "西洋近代社会学", "哲学", "西洋哲学", "西洋近代哲学" ]

著者紹介

フランスの社会学者、哲学者、数学者、総合科学者。 1841年から1847年までジョン・スチュアート・ミルと親交があった。「社会学」という名称を創始し、彼の影響を受けた英国のハーバート・スペンサーと並んで社会学の祖として知られる。 コントは、人間の知識を神学的/形而上学的/実証的の三段階を経るとし、最後の段階で真に予見が可能となる科学的知識に至るとした。そして、実証科学の体系を、単純から複雑の順に、数学・天文学・物理学・化学・生物学・社会学の六つの領域に分類し、社会学を社会静学と社会動学に分けてそれぞれの任務を明らかにした。