
『 差異と反復 』
1968
西洋現代哲学
名著の概要
ジャンル
[
"哲学",
"西洋哲学",
"西洋現代哲学"
]
テーマ
認識について
同一性について
自我について
反復について
理性について
概要
〈同一性〉〈自我〉〈理性〉への挑戦。プラトン以来の西欧精神史の基本原理を根底から覆し、伝統思考からの解放を主張する真に創造的な書物
目次
内容
本書において、ドゥルーズは同一性の問題に焦点を当てている。例えば「ソクラテスは人間である」という言明において、ソクラテスという個別的、具体的な歴史的人物を指すものであるために排他的に用いられるものと、人間という諸々の差異を持った存在を共通して指し示すものが等しい事態が表されている。
同一性について、デイヴィッド・ヒュームは個々人の経験から一般的に正しいことを導き出せるか、またそれはどのように正しいと言えるかを問題とした。本書は、このような同一性の問題に対して、多種多様であるはずの存在がどのようにして同一の存在と見なせるのかを検討し、同一性で処理できない差異性とその反復の過程を明らかにした。
ドゥルーズは、連続する「ABABAB…」という列が「AB」の反復として認識されることを指摘し、そのような認識が、認識の対象が持つ本質ではなく認識者の想像によると論じる。
そしてそのような同一性の認識は、認識者の受動的総合から発生するため、精神による意識的な作用ではないと考える。
まず精神の作用が及ばない領域で認識者の過去の経験は現在に「処女的な反復」が行なわれる。
これにより、それ自身では同一性を持たなかった存在が理想化され、縮約される。
ドゥルーズは、このようにあらゆる存在の同一性が過去に得られた経験とその受動的総合、処女的な反復によって決定されることを踏まえて、哲学という活動の同一性を見直すことを主張している。
存在が過去に規定されることは将来において連続される事態であり、過去は現在における別の反復を準備し、それゆえに将来における行為の条件となる。
ドゥルーズはここから脱却するためには一度も反復されていない過去を見出すことによって、新しい存在のあり方を志向できると論じる。

ドゥルーズ
フランス
著者の概要
ジャンル
[
"哲学",
"西洋哲学",
"西洋現代哲学"
]
著者紹介
フランスの哲学者。
20世紀のフランス現代哲学を代表する哲学者の一人であり、ジャック・デリダなどとともにポスト構造主義の時代を代表する哲学者とされる。
精神科医で哲学者でもあるフェリックス・ガタリとの共著のなかで、戦争機械、リゾーム、器官なき身体(これは作家、劇作家のアルトーの言葉から発したもの)等の「概念」を次々と創造していった。いまだその概念の可能性のすべては汲み尽くされていないとされる。これらの理論はニーチェ、ベルクソンにその源流を持つ「生成の哲学」とも言うべきもので、日本の思想界にも大きな影響を及ぼした。