『 悪霊 』
1871
近代ロシア文学
名著の概要
ジャンル
[
"文学",
"近代文学",
"近代ロシア文学"
]
テーマ
ニヒリズム
無政府主義
信仰
概要
無政府主義、無神論、ニヒリズム、信仰、社会主義革命、ナロードニキなどをテーマにもつ深遠な作品であり著者の代表作。『罪と罰』、『白痴』、『未成年』、『カラマーゾフの兄弟』と並ぶドストエフスキーの五大長編の1つで3番目に書かれた。
目次
第一部
第一章 序に代えて――
第二章 ハリー王子。縁談
第三章 他人の不始末
第四章 びっこの女
第五章 賢しき蛇
第二部
第一章 夜
第二章 夜(つづき)
第三章 決闘
第四章 一同の期待
第五章 祭りの前
第六章 奔走するピョートル
第七章 同志たちのもとで
第八章 イワン皇子
第九章 ステパン氏差押え
第十章 海賊たち。運命の朝
第三部
第一章 祭り――第一部
第二章 祭りの結末
第三章 破れたるロマンス
第四章 最後の決定
第五章 旅の女
第六章 労多き一夜
第七章 ステパン氏の最後の放浪
第八章 結末
スタヴローギンの告白
内容
1861年の農奴解放令によっていっさいの旧価値が崩壊し、動揺と混乱を深める過渡期ロシア。青年たちは、無政府主義や無神論に走り秘密結社を組織してロシア社会の転覆を企てる。
聖書に、悪霊に憑かれておぼれ死ぬ豚の群れの記述があるが、本作品は無神論革命思想をその「悪霊」に見立て、それに憑かれた人々とその破滅を、実在の事件をもとに描いた歴史的大長編である。
実在のアナーキスト革命家ネチャーエフ(小説ではピョートル・ベルホベンスキー)が転向者イワノフ(シャートフ)を惨殺したリンチ事件に取材している。小説はこの事件を軸に、父の世代の自由思想家ステパン、人神論者キリーロフ、民族主義者シャートフ、専制社会主義者シガリョフら、錯雑した登場人物の重厚な思想的ドラマとして展開するが、「真の主人公」はそのいっさいの背後にある謎めいた存在スタブローギンで、彼については別に「告白」の章も残され、もっともドストエフスキー的な人物像として有名。
ドストエフスキー
ロシア
著者の概要
ジャンル
[
"文学",
"近代文学",
"近代ロシア文学"
]
著者紹介
ロシアの小説家・思想家。代表作は『罪と罰』、『白痴』、『悪霊』、『カラマーゾフの兄弟』など。レフ・トルストイ、イワン・ツルゲーネフと並び、19世紀後半のロシア小説を代表する文豪。
その著作は、当時広まっていた理性万能主義(社会主義)思想に影響を受けた知識階級(インテリ)の暴力的な革命を否定し、キリスト教、ことに正教に基づく魂の救済を訴えているとされる。実存主義の先駆者と評されることもある。反ユダヤ主義者としても知られる。