政談
『 政談 』
荻生徂徠
1727
古文辞学

名著の概要

ジャンル

[ "哲学", "東洋哲学", "日本哲学", "古文辞学", "古学", "日本近世哲学" ]

テーマ

幕藩体制について 政治改革について 経世済民について

概要

江戸幕府の支配体制に弛緩を生ぜしめている根本的原因を指摘し,当面の対策を論じて,8代将軍徳川吉宗に呈した意見書。

目次

内容

徂徠の改革案の主眼は、戸籍を整備して、武士や庶民を土地に定着させること(土着論)と、身分に応じた生活水準の規制(制度論)とに置かれており、一見すると保守的であるが、そのなかには日本の社会の本質についての洞察が含まれており、その点で近代の日本を準備する役割を果たしたとみられる。 具体的には、幕政改革のため貨幣経済の発達抑制・武士の帰農・参勤交代の弊害などを説いた。
荻生徂徠
荻生徂徠
日本

著者の概要

ジャンル

[ "哲学", "東洋哲学", "日本哲学", "古学", "古文辞学", "日本近世哲学" ]

著者紹介

江戸時代中期の儒学者・思想家・文献学者である。 朱子学、仁斎学を論駁し、古代の言語、制度文物の研究を重視する「古文辞学」を標榜した。 朱子学を「憶測にもとづく虚妄の説にすぎない」と喝破、朱子学に立脚した古典解釈を批判し、古代中国の古典を読み解く方法論としての古文辞学(蘐園学派)を確立した また、古文辞学によって解明した知識をもとに、中国古代の聖人が制作した先王の道(礼楽刑政)に従った制度を立て、政治を行うことが重要だとした。徂徠は農本思想を説き、武士や町人が帰農することで市場経済化に適応できず困窮(旅宿の徒)していた武士を救えると考えた。 徂徠は柳沢吉保や8代将軍・徳川吉宗への政治的助言者でもあった。吉宗に提出した政治改革論『政談』には、徂徠の政治思想が具体的に示されている。人口問題の記述や身分にとらわれない人材登用論は特に有名である。これは、日本思想史の流れのなかで政治と宗教道徳の分離を推し進める画期的な著作でもあり、こののち経世思想(経世論)が本格的に生まれてくる。