新しい世界の為の教育
『 新しい世界の為の教育 』
マリア・モンテッソーリ
1947
教育学

名著の概要

ジャンル

[ "社会学", "西洋社会学", "西洋現代社会学", "教育学", "幼児教育" ]

テーマ

子どもについて 子どもの教育について 親について

概要

モンテッソーリ教育の原理を説きながら、同時に新しい世界と子どもについて語る、モンテッソーリ教育の入門書。 親や教師はどのようにそれを支えればよいのか、0~6歳の子どもの年齢ごとに解説されています。

目次

はじめに―新しい人間 モンテッソーリ法の発見と展開 吸収する精神 胎生学―胎児・その生命の出発 環境と人間 誕生からの教育 言語の神秘 運動の意味 活動のはじまり―一歳半 自分をつくる―三歳 性格の形成について―三歳から六歳 意思の発達 モンテッソーリ教師に求められるもの

内容

子どもにを管理・支配し、一方的に教える既存の教育を否定し、大人は子どものための環境整備とを行い、その範囲内で自由に行動する子どもを”見守る”存在だと説き、既存の教育概念を一変させたモンテッソーリの最晩年の名著。 子どもは生まれながらにして、自分自身を成長させる力をもっている。親や教師はどのようにそれを支えればよいのかを、子どもの年齢ごとに解説。Google、amazon、Facebookの創設者や藤井聡太七段が受けていたことで注目を集めるモンテッソーリ教育の入門書にして決定版。人間の成長・発達を単に直線的なものととらえず、非連続性をもつものと解釈した。停滞(内なる準備期間)や飛躍(爆発現象)をともない、専心と安息、準備と活動の循環の中で覚醒がおきるとする。
マリア・モンテッソーリ
マリア・モンテッソーリ
イタリア

著者の概要

ジャンル

[ "社会学", "西洋社会学", "西洋現代社会学", "教育学", "幼児教育" ]

著者紹介

医学博士、幼児教育者、科学者、フェミニスト。モンテッソーリ教育法の開発者として知られる。 19世紀、ローマ大学医学部に女性として初めて入学。当時は女性差別の残る時代だったため、入学後、男子学生と同室での系統解剖が許されず、別室で一人死体に向かいメスを取らざるを得ないなどの差別的処遇を受けたが、それらの逆境を乗り越え、1896年、イタリア初の女性の医学博士号を取得する。 卒業後も女性が医師になることに否定的な医学界で、なかなか職が見つからず、医学とかけ離れた状況にあったローマ大学付属の精神病院にようやく職を得た。当時の精神病院の患者たちは鉄格子に囲まれた暗い部屋に監禁され、治療らしい治療が行われない劣悪な環境下にあった。医師として絶望的と言えるこの職場で、マリアは知的障害があるとされる幼児が床に落ちたパン屑でしきりに遊ぶ姿に目を留めた。それ以降、幼児の様子を注意深く観察するうちに、何ら知的な進歩はないと見放されていた彼らが感覚的な刺激を求めることを認め、指先を動かすような玩具を次々と与え、彼らの治療を試みた。その中で彼女は、感覚を刺激することによって、知的障害児であっても知能の向上が見られるという確信を得て、他の障害児たちにも同様の教育を施した。マリアが彼らに知能テストを受けさせると、彼らの知能が当時の健常児たちの知能を上回るという結果が得られ、イタリア教育界、医学界に衝撃を与えることとなった。 1907年、障害児の治療教育で一通りの成果を挙げた感覚教育法を、マリアはローマの貧困家庭の子供たちに応用する機会を得る。ここにおいても知能向上で著しい結果を得、この方法をさらに追究するため、医師を辞め、ローマ大学に再入学した。 再入学したローマ大学では主に哲学を学び、その後、南フランス・アヴェロンで発見された野生児の教育に着手し、彼の観察と教育を行った感覚教育の先駆者であったジャン・イタールの著書の研究を進め、知的・発達障害者教育の先駆者エドワード・セガン(en:Édouard Séguin)医師に学んだ。さらに、生理学、精神医学の研究にも没頭。のちにモンテッソーリ教育と呼ばれる独自の幼児教育法を確立する。 モンテッソーリ教育が確立されると、その方法は世界各国で支持されるようになり、世界各地に次々とモンテッソーリ教育を専門に行う「子供の家」 (Casa dei bambini) が設立された。モンテッソーリ教育が急速に普及していく中、マリアは教師の質の重要性を認識、教員養成コースと1929年には国際モンテッソーリ協会(通称 AMI:本部オランダアムステルダム)を開設、資格取得制度を整えた。 イタリア通貨がユーロに切り替わる以前に流通していたイタリア1000リラ紙幣には、マリア・モンテッソーリの肖像画(表)とその学習風景(裏)が描かれていた。 ※モンテッソーリ教育の生徒にはアンネ・フランクやジャクリーン・ケネディ・オナシスを始め、世界中に数多くの有名人がいるが、ワシントン・ポスト誌の経営者および、ジャーナリストだったキャサリン・グラハム氏、 Amazon.comの創立者ジェフ・ベゾス氏、Googleの共同創立者セルゲイ・ブリン氏とラリー・ペイジ氏、wikipedia創設者ジミー・ウェールズ氏、最年少二冠棋士藤井聡太氏などもモンテッソーリ・スクール出身者である。