歯車
『 歯車 』
芥川龍之介
1927
現代日本文学

名著の概要

ジャンル

[ "文学", "東洋文学", "日本文学", "現代日本文学", "日本・純文学", "純文学" ]

テーマ

死への恐怖 幻覚 精神 私小説

概要

芥川が自殺する3ヶ月前に執筆され、彼が自殺に至るまでの苦悩や幻覚といった精神状態を読み取ることができる私小説。ストーリーらしいストーリーはなく、「死への恐怖」を中心に主人公(=芥川)の生活が描かれる作品だが、川端康成や堀辰雄など多くの文豪が芥川の最高傑作と評する作品でもある。

目次

内容

主人公=芥川が、知人の披露宴に出席してからの数日間を描いている。披露宴への出席のために東京へ向かう途中に、レインコートを着た幽霊の話を聞く主人公。東京への道中では至るところでレインコートを着た男を見る。また半透明の歯車も空中に浮かび上がってきて、主人公はひどい頭痛に悩まされる。その後、主人公は、姉の夫が季節外れのレインコートを来たまま轢死したことを知る。それら以外にも、ふとした言葉や物が死を意味する記号のように思えてしまい、死への恐怖に取り憑かれる主人公。「誰か僕の眠っているうちにそっと絞め殺してくれるものはいないか。」の一文で物語は終わる。
芥川龍之介
芥川龍之介
日本

著者の概要

ジャンル

[ "文学", "東洋文学", "日本文学", "近代日本文学" ]

著者紹介

明治・大正期を代表する作家の一人であり、35年の生涯の中で多くの優れた作品を生み出した。作品の多くは短編小説であり、中でも『芋粥』『藪の中』『地獄変』など、『今昔物語集』『宇治拾遺物語』といった古典から題材をとったものから、『蜘蛛の糸』『杜子春』などの児童向け文学まで幅広く知られている。 菊池寛や久米正雄ら高校の同級生たちと 文芸雑誌である『(第3次)新思潮』を創刊。その後23歳の若さで発表した『羅生門』で一躍脚光を浴びる。その後も『鼻』『蜘蛛の糸』などの作品で注目され続け、27歳では結婚し順風満帆に見えたが、妻とのすれ違いからの離婚や、自身の恋多き性格が招いた災難、実家のトラブルなど多くの問題に見舞われ、徐々に精神をすり減らし、ついに35歳のとき服毒自殺を図り、その短い生涯を終えた。没後、菊池寛により芥川賞が設けられ、今日まで続く純文学の最も権威ある賞の一つとなっている。