歴史の研究
『 歴史の研究 』
アーノルド・J・トインビー
1934
西洋現代歴史学

名著の概要

ジャンル

[ "歴史学", "西洋歴史学", "西洋現代歴史学", "西洋近現代歴史学" ]

テーマ

歴史とは何か 文明とは何か

概要

本書は12巻から成り立っており、まず1934年に3巻までが、1939年に6巻までが、1954年に10巻までが出版された。さらに考察しなおしたものが1961年に第11巻と第12巻として発表される。 トインビーは国家を中心とする歴史観を否定し、文明社会を中心とした歴史観を提示する。

目次

内容

トインビーは西欧文明の優位を退けながら、第一代文明であるシュメール、エジプト、ミノス、インダス、殷、マヤ、アンデス、第二代文明であるヘレニック(ギリシア・ローマ)、シリア、ヒッタイト、バビロニア、インド、中国、メキシコ、ユカタン、そして第三代文明であるヨーロッパ、ギリシア正教、ロシア、イラン、アラブ、ヒンドゥー、極東、日本、朝鮮、以上の21の文明を世界史的な観点から記述することを試みる。 トインビーはこの第三代までの諸文明は歴史的に概観すると親子関係にあり、文明は発生、成長、衰退、解体を経て次の世代の文明へと移行すると考えていた。 トインビーがこのような歴史観に基づきながら説くところでは、文明は外部における自然・人間環境と創造的な指導者の二つの条件によって発生し、気候変動や自然環境、戦争、民族移動、人口の増大の挑戦に応戦しながら成長する。 しかし文明は挑戦に応戦することに失敗することによって弱体化をはじめ、衰退に向かうようになる。そこで指導者は新しい事態への対応能力を失い、社会は指導者に従わなくなり、統一性が損なわれる。 最後には内部分裂が進むことで、指導者は保身のために権力を強化し、結果的に大衆はプロレタリアートによる反抗を通じて文明は解体される、とトインビーは定式化する。
アーノルド・J・トインビー
アーノルド・J・トインビー
イギリス

著者の概要

ジャンル

[ "歴史学", "西洋歴史学", "西洋現代歴史学", "西洋近現代歴史学" ]

著者紹介

イギリスの歴史学者。 叔父で歴史家・社会活動家のアーノルド・トインビー(1852-1883)と区別するため、ミドルネームの「J」を入れて表記されることが多い。西欧中心の歴史観でなく、イスラム、仏教、それに特殊な存在としての日本にも着目して、各文明国の発展を描いた『歴史の研究』(原著1934-1961年)を著す。1911年、オックスフォード大学卒業。アテナイの考古学院の研究生としてギリシアに行き、帰国後、母校で研究員としてギリシア・ローマの古代史研究と授業にあたる。