沈黙の春
『 沈黙の春 』
レイチェル・カーソン
1962
生物学

名著の概要

ジャンル

[ "科学", "西洋科学", "生物学" ]

テーマ

環境保護 生態学

概要

DDTを始めとする農薬などの化学物質の危険性を、鳥達が鳴かなくなった春という出来事を通し訴えた作品。アメリカにおいて半年間で50万部も売り上げ、後のアースディや1972年の国連人間環境会議のきっかけとなり、人類史上において、環境問題そのものに人々の目を向けさせ、環境保護運動の始まりとなった。

目次

内容

レイチェル・カーソンのこの著作は、あまり知られていなかった農薬の残留性や生物濃縮がもたらす生態系への影響を公にし、社会的に大きな影響を与えた。 カーソンの指摘により、生体内に蓄積し食物連鎖により濃縮され安全性に問題が発生する可能性のある農薬には基準値が設けられ規制されるようになった。このような規制は米国だけでなくて世界中の先進国に広がりを見せ、近年にまで続く環境保護思想の源流の内の一つにもなった。 従来の規制では直接的に化学物質と接触して被害を及ぼすような毒劇物の製造・使用等の規制や排出ガス・排出水等の規制だけだったが、新しく生まれた規制は長期間にわたって人体に残留してじわじわと健康に被害を及ぼすリスクに対応した点において、これまでの化学物質の安全性に関する考え方を根本的に覆すものだった。 <主張内容> ・生物濃縮の怖さ(アメリカ西部クリア湖における農薬散布とカイツブリ類の中毒死例他) ・化学的農薬ではなく生物農薬の利用(侵入昆虫マメコガネに対して劇薬散布を取った中西部諸州と病原菌・寄生蜂の蔓延方策を取った東部諸州の例、競合植物で線路際の高木の繁殖を上手く抑えた例他) ・人間が自然をコントロールする愚かさ(乾燥地帯に生えるヨモギの一種Artemisia tridentataを除去しようとして逆にさらなる不毛の地になってしまった例、道端のブタクサを除去しようとして逆にブタクサばかりになった例他) ・単一植物ばかりを植えることの脆弱性(ニレ並木ばかり作ったせいでニレ立枯病の蔓延を招いた例他)
レイチェル・カーソン
レイチェル・カーソン
アメリカ

著者の概要

ジャンル

[ "科学", "西洋科学", "生物学" ]

著者紹介

アメリカの生物学者。 農薬で利用されている化学物質の危険性を取り上げた著書『沈黙の春』(Silent Spring)は、アメリカにおいて半年間で50万部も売り上げ、後のアースディや1972年の国連人間環境会議のきっかけとなり、人類史上において、環境問題そのものに人々の目を向けさせ、環境保護運動の始まりとなった。