
『 法の精神 』
1748
西洋近代政治学
名著の概要
ジャンル
[
"政治学",
"西洋政治学",
"西洋近代政治学"
]
テーマ
国家について
政治について
法について
概要
日本では権力分立を定式化した著書として有名だが、その論点は政治学、法学、社会学、人類学など多岐にわたっている。なお、誤解が多いが、本書中では権力が三権(立法権・司法権・行政権)のみならず、四権ないし五権にまで分立すべきである旨が示されている。
目次
内容
『法の精神』の大きなテーマは、政治的自由とそれを保持するための最良の手段に関するものである。「政治的自由」とモンテスキューが言うとき、それは大要「個人の安全」もしくは「各人がその安全の内に持つ見解から生じる心の平静」を意味している。
彼はこの視点を政治的自由に関する二つの謬見と区別している。その一つ目は、自由が集団的自治のなかに存する、つまり自由と民主政を等価とする見解である。二つ目は、自由とは一切の束縛を受けずに欲することが何でもできる状況のなかに存するという考えである。モンテスキューは、それらの謬見はともに真実でないばかりか、自由の敵になりうると考えていた。
政治的自由は専制政のもとでは実現できないものであり、共和政や君主政では保証されたものでないとはいえ可能になるのである。一般に、確固たる土台の上に政治的自由を確立するには、次の二つのものが必要になる。
まず一つ目が統治権力の分立である。モンテスキューは、ジョン・ロックの『統治二論』を基礎において修正を加えつつ、立法権、司法権、行政権はそれぞれ分有されるべきであることを論じた。任意の権力が政治的自由を侵そうとすれば、別の権力が牽制できるからである。
彼はイングランドの政治制度を広く論じたなかで、どのようにすれば君主制のなかにおいてさえもこれが達成され、自由が保証されるのかを示そうとした。同時に彼は、権力が分立していなければ、共和政においてさえも自由は保証されえないことも述べた。
二つ目は、個人の安全のために民法と刑法が適切に制定されることである。ここで彼が思い描いていたのは、現在の我々が言うところのデュー・プロセスに関する諸権利、すなわち公正な裁判を受ける権利、有罪が確定するまでは無罪である権利、罪科と刑罰の均衡などである。
これとの関連において、モンテスキューは奴隷制の廃止や言論・結社の自由についても論じている。

モンテスキュー
イギリス
著者の概要
ジャンル
[
"政治学",
"西洋政治学",
"西洋近代政治学"
]
著者紹介
フランスの哲学者である。
イギリスの政治に影響を受け、フランス絶対王政を批判し、均衡と抑制による権力分立制の基礎を築いた。なお、イギリス滞在の間にフリーメーソンとなった。
法とは、「事物の本性に由来する必然的な関係」であると定義し、権力を分割しない統治形態による法からは、政治的自由が保障されないと考え、執筆に20年かけたと言われる自身の著作『法の精神』の中で、政治権力を立法・行政・司法に三分割する「三権分立論」(「権力分立論」)を提唱した。