『 消費の経済理論 』
1957
シカゴ学派
名著の概要
ジャンル
[
"経済学",
"西洋経済学",
"西洋現代経済学",
"シカゴ学派"
]
テーマ
恒常所得仮説
概要
家計の消費は,恒常所得によって決められると考える M.フリードマンの唱えた消費理論。
目次
内容
現実の所得は恒常的に入手が予想される給料・賃金などの部分と、一時的な入手になる金一封・宝くじの賞金などの部分に分けられ、前者を恒常所得,後者を変動所得と呼ぶ。
変動所得が偶発的であるのに対し、恒常所得は長期的に安定して期待できるものである。
したがって所得と消費の比率である
*平均消費性向は,長期にわたる恒常所得が高いほど高くなり,逆に短期的な変動所得が高まれば平均貯蓄性向が高まる。
フリードマンによって提唱された恒常所得仮説によると、一時的な変動所得が消費の増加に回らないため、ケインジアンの主張する乗数効果は、その有効性が大きく損なわれる。
そのため、恒常所得仮説は、中央銀行によって実施される金融政策の復権を求めたマネタリストの重要な論拠の一つになった。
また、経済状況に対する政府中銀の認知ラグや政策が実際に行われるまでのラグ、および効果が実際に波及するまでのラグといったラグの存在のために、裁量的に政策を行ってもそれは適切に機能せず、かえって不要の景気変動を生み出してしまうことからも、裁量的な財政政策を批判した。
フリードマンは、ケインズ政策はスタグフレーションに繋がるとし、ケインズ政策の実行→景気拡大→失業率の低下→インフレ期待の上昇→賃金の上昇→物価の上昇→実質GDP成長率の低下→失業率の再上昇というメカニズムで、結果的に物価だけが上昇すると主張している。
ミルトン・フリードマン
アメリカ
著者の概要
ジャンル
[
"経済学",
"西洋経済学",
"西洋現代経済学",
"シカゴ学派"
]
著者紹介
アメリカ合衆国の経済学者。
古典派経済学とマネタリズム、市場原理主義・金融資本主義を主張しケインズ的総需要管理政策を批判した。
20世紀後半におけるマネタリスト、新自由主義を代表する学者として位置づけられている。戦後、貨幣数量説を蘇らせマネタリストを旗揚げ、裁量的総需要管理政策に反対しルールに基づいた政策を主張した。
フリードマンは、スタグフレーションのうちインフレーションの要素に対しての姿勢や政策を重視した。
また、経済に与える貨幣供給量の役割を重視し、それが短期の景気変動および長期のインフレーションに決定的な影響を与えるとした。
特に、貨幣供給量の変動は、長期的には物価にだけ影響して実物経済には影響は与えないとする見方であり、(貨幣の中立性)、インフレーション抑制が求められる中で支持された。