『 現代政治の思想と行動 』
1956
日本現代政治学
名著の概要
ジャンル
[
"政治学",
"東洋政治学",
"日本現代政治学",
"哲学",
"東洋哲学",
"日本哲学",
"日本現代哲学"
]
テーマ
政治について
政治思想について
概要
丸山眞男が著した政治学の研究書。「丸山政治学」のバイブルと呼ばれる。
目次
内容
戦後『世界』誌上で「超国家主義の論理と心理」を発表し、注目を集めた。丸山は戦後民主主義の立役者として活躍し、これらの論考は「大日本帝国の実在より戦後民主主義の虚妄に賭ける」という言葉で名高い。
本書は丸山の戦後に発表された諸論考の中でも特に現代政治に関連する論文を取り上げてまとめたものであり、単一の内容ではなく複数の内容が並存している。
その構成は近代日本におけるファシズムや軍国主義について論じた第1部現代日本の精神状況、共産主義やナショナリズムなどイデオロギーについて論じた第2部イデオロギーの政治学、そして人間と政治について論じた第3部「政治的なるもの」とその限界、以上の三部から成り立っている。
近代日本の支配体系は権威と権力を一元的に独占しており、そこでは公的領域が私的領域に対して深く浸透していた。したがって人びとは私的な活動でさえも公的な基準で判断することになる。
また国家が道徳を具体化していると考えられているため、その国家活動は常に正当化されることになる。こうした倫理と権力の相互移入に基づく権力の正当化は権力志向の人間を生み出さないと同時に、権力に対する警戒心も生み出さない。支配体系において正当性の根拠である天皇との近接性こそが国家活動を駆動することになる。
結果としてセクショナリズムが横行し、また、権力行使に伴うべき政治責任の観念が欠如する。近代日本において政治的中核であった天皇もまた万世一系の伝統において成り立っているものであり、必ずしも自由な主体ではなかった。
こうした精神的均衡を維持するために抑圧の委譲が実施されており、それは明治以来の日本の膨張政策として発現していったのである。
丸山眞男
日本
著者の概要
ジャンル
[
"哲学",
"東洋哲学",
"日本哲学",
"日本現代哲学",
"政治学",
"東洋政治学",
"日本現代政治学"
]
著者紹介
日本の政治学者、思想史家。
丸山の学問は「丸山政治学」「丸山思想史学」と呼ばれる。
。第二次世界大戦中に執筆した『日本政治思想史研究』は、ヘーゲルやフランツ・ボルケナウらの研究を日本近世に応用し、「自然」-「作為」のカテゴリーを用いて儒教思想(朱子学)から荻生徂徠・本居宣長らの「近代的思惟」が育ってきた過程を描いたものである。
また、明治時代の思想はデモクラシー(民権)とナショナリズム(国権)が健全な形でバランスを保っていたと評価し、特に日本近代を代表する思想家として福澤諭吉を高く評価し、「福澤惚れ」を自認した。
『日本の思想』(岩波新書、1961)の発行部数は2005年(平成17年)5月現在、累計102万部。大学教員達から“学生必読の書”と評される他、この中に収められている『「である」ことと「する」こと』は高校の現代文の教科書にも採用されている。