磁石論
『 磁石論 』
ウィリアム・ギルバート
1600
物理学

名著の概要

ジャンル

[ "科学", "西洋科学", "物理学" ]

テーマ

磁石について 磁気について 電気について

概要

医師としての仕事のかたわら静電気、磁石の研究をおこなった。電気 (electricity) という言葉を作った著書。本書により、 ギルバートの研究は、実験を用いた近代的な科学の先駆けとして、多くの科学者に多大な影響を及ぼし、電気工学や電気と磁気の父とされる。

目次

内容

全6巻で、第1巻では磁石についての研究の歴史を検討して俗説を退けるとともに、磁気現象を扱うのに地球が大きな磁石であるという仮定を導入した。 第2巻以降は、各巻ごとに、相互引力、指向性、偏角、伏角、回転という磁石の五つの性質を取り上げている。とくに当時、航海と関係した伏角については、船乗りのノーマンRobert Normanの著作から多く学んでいる。 またこの著では「小地球」とよんだ小さな球状磁石を用いての実験や、強化磁石の実験など、自らが行った実験、発見を明示するなど新しい科学の特徴を示している。 さらに、それまでは同一に扱われていた琥珀(こはく)の吸引作用を磁気とは区別して、エフルビア(発散気)によるものとしてエレクトリック(琥珀性の意)=電気という名称を初めて用い、その検出装置を工夫した。 彼の磁気による地球の自転や地磁気の作用圏といった考えはケプラーに影響を与えたが、彼の死後1651年に出版された『月下界についての新哲学』では、磁石についての考えを拡張して、宇宙論、自然学、気象学を論じている。起磁力の単位ギルバートGbは、彼の業績にちなんでつけられた。
ウィリアム・ギルバート
ウィリアム・ギルバート
イギリス

著者の概要

ジャンル

[ "科学", "西洋科学", "物理学" ]

著者紹介

イギリスの医師、物理学者、自然哲学者である。 コペルニクスの地動説を早くから支持し、当時支配的だったアリストテレス哲学とそれに基づく学校教育を積極的に拒絶した。 医師としての仕事のかたわら静電気、磁石の研究をおこなった。今日、主に著書 磁石論 (1600) で知られており、電気 (electricity) という言葉を作った1人とされている。また、versorium と名付けた回転する針のような検電器を発明しており、電気計測機器の祖とされている。 ギルバートの研究は、実験を用いた近代的な科学の先駆けとして、多くの科学者に多大な影響を及ぼし、電気工学や電気と磁気の父とされることもある。