社会契約論
『 社会契約論 』
ジャン・ジャック・ルソー
1762
西洋近代哲学

名著の概要

ジャンル

[ "政治学", "哲学", "西洋政治学", "西洋近代政治学", "西洋哲学", "西洋近代哲学" ]

テーマ

国家とは何か

概要

社会契約と一般意志なる意志による政治社会の理想を論じた名著。

目次

内容

『人間不平等起源論』の続編として国家形成の理想像を提示しようとする。ホッブスやロックから「社会契約」という概念を継承しながら、さまざまな人々が社会契約に参加して国家を形成するとした。そのうえで、人々の闘争状態を乗り越え、さらに自由で平等な市民として共同体を形成できるよう、社会契約の形式を示した。 まず、社会契約にあたっては「各構成員の身体と財産を、共同の力のすべてを挙げて守り保護するような、結合の一形式を見出すこと。そうしてそれによって各人がすべての人々と結びつきながら、しかも自分自身にしか服従せず、以前と同じように自由であること」を前提とした上で、多人数の人々が契約を交わして共同体を樹立するとした。 ルソーによると、暗黙に承認されねばならない「社会契約」の条項は次のたった一つの要件に要約される。それは、これまで持っていた特権と従属を共同体に譲渡して平等な市民として国家の成員になること。そのうえで市民は国家から生命と財産の安全を保障されるという考えを提示した。 社会契約によってすべての構成員が自由で平等な単一の国民となって、国家の一員として政治を動かしていく。だが、めいめいが自分の私利私欲を追及すれば、政治は機能せず国家も崩壊してしまう。そこで、ルソーは各構成員は共通の利益を志向する「一般意志」のもとに統合されるべきだと主張した。公共の正義を欲する一般意志に基づいて自ら法律を作成して自らそれに服従する、人間の政治的自律に基づいた法治体制の樹立の必要性を呼びかけた。 このように、主権者と市民との同一性に基づく人民主権論を展開し、近代民主主義の古典として以後の政治思想に大きな影響を及ぼした。そして政府は人民の「公僕」であるべきだと論じつつ、国民的な集会による直接民主制の可能性も論じた。
ジャン・ジャック・ルソー
ジャン・ジャック・ルソー
フランス

著者の概要

ジャンル

[ "哲学", "西洋哲学", "西洋近代哲学", "社会学", "西洋社会学", "政治学", "西洋政治学", "西洋近代政治学" ]

著者紹介

フランス語圏ジュネーヴ共和国に生まれ、主にフランスで活躍した哲学者、政治哲学者、作曲家。 『社会契約説』をはじめ、『人間不平等起源論』や『エミール』などの名著を生み出した。 ルソーから影響を受けた人物としては、哲学者のイマヌエル・カントが有名である。カントの他、ヨハン・ゴットリープ・フィヒテ、ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルなどにも影響を与え、ドイツ観念論の主軸の流れに強い影響を及ぼした。