社会的費用の問題
『 社会的費用の問題 』
ロナルド・コース
1960
シカゴ学派

名著の概要

ジャンル

[ "経済学", "西洋経済学", "西洋現代経済学", "シカゴ学派" ]

テーマ

外部不経済 社会的費用

概要

コースの定理で有名な著書。外部不経済と社会的費用について検討し社会的余剰の分析を行った。

目次

内容

企業の生産活動から発生した公害が周辺住民に被害を与えている状況を考える。このとき取引コストがないなどの理想的条件の下では企業と住民の交渉によって外部不経済による過剰生産を避けることができ、少なくとも社会全体としては同じ水準の社会的余剰が達成される。これをコースの定理という。 ただし、誰が環境についての権利を持つかによって負担の配分は異なる。 住民に権利(所有権)がある場合は企業に課税して住民に補償を与える(ピグー税など)ことになるので費用負担者は企業であり、企業に権利がある場合は住民側から企業の減産に補償を与えることになるので費用負担者は住民である。 また、住民と企業のどちらが権利を持つかによって、企業の環境対策へのインセンティブが変わってくることも重要である。住民に権利がある場合、企業には環境負荷を小さくする技術革新を行うことでピグー税の負担を小さくすることが出来るので、企業に権利がある場合よりも環境対策への投資のインセンティブが高まる。
ロナルド・コース
ロナルド・コース
アメリカ

著者の概要

ジャンル

[ "経済学", "西洋経済学", "西洋現代経済学", "シカゴ学派" ]

著者紹介

アメリカの経済学者。 The Nature of the Firm(1937年)とThe Problem of Social Cost(1960年)の二つの業績により、1991年にノーベル経済学賞を受賞した。それまで経済学において議論されてこなかった「権利」や「法」による外部性の分析、「取引コスト」概念による企業存在の基礎付けというユニークな業績を認められての受賞であった。 The Problem of Social Costで彼が発見したメカニズムは「コースの定理」として知られている。 Durability and Monopoly(1972年)は耐久消費財市場における独占企業の市場支配力の問題を扱ったものだが、そこでのコースの主張は、「コースの推論」と呼ばれ、その厳密な証明の展開など、産業組織論の多くの理論家たちの関心を集めた。