『 神学大全 』
13世紀
スコラ哲学
名著の概要
ジャンル
[
"哲学",
"宗教学",
"西洋哲学",
"スコラ哲学",
"西洋宗教学",
"西洋中世哲学",
"西洋古代・中世哲学",
"古代ギリシア・ローマ哲学"
]
テーマ
神について
人間について
道徳について
キリストについて
概要
「神学の要綱」「神学の集大成」という意味の題を持つ中世ヨーロッパの神学書。聖書の言葉や教父・神学者の言葉が抜書きされていたものをわかりやすくまとめなおしているもの。
目次
第一部 : 神について、119問
問1 : 聖なる教え
問2-26 : 神
問27-43 : 三位一体
問44-46 : 創造
問47 : 一般事物の区別
問48-49 : 善と悪の区別
問50-64 : 天使
問65-74 : 創造の7日間
問78-102 : 人間
問103-119 : 被造物(世界)の保全統率
第二部 : 人間について、303問
第1部 : 114問
問1-5 : 目的
問6-21 : 人間特有の行為
問22-48 : 情念
問49-54 : 習性
問55-70 : 美徳と幸福
問71-89 : 悪徳と罪
問90-108 : 法
問109-114 : 恩寵
第2部 : 189問
【対神徳】
問1-16 : 信仰
問17-22 : 希望
問23-44 : 愛
【枢要徳(四元徳)】
問45-46 : 知恵
問47-56 : 思慮
問57-122 : 正義
問123-140 : 勇気
問141-170 : 節制
問171-174 : 預言
問175 : 携挙
問176-178 : 恩寵
問179-182 : 観想的生活と活動的生活
問183-189 : 生活の分化
第三部 : キリストについて、90問
問1-59 : 受肉
問60-90 : 秘跡
問66-71 : 洗礼
問72 : 堅信
問73-83 : 聖餐
問84-90 : ゆるし
内容
『神学大全』はトマス・アクィナスの数ある著作の中でも最も有名なものであるが、序文の言葉によれば神学の初学者向けの教科書として書かれたものであるという[1]。決してキリスト教徒でない人々を想定して書かれているわけではないが、それでもきわめて明快に理性と啓示(信仰)の融合がはかられ、読者がキリスト教信仰に関する事柄でも理性で納得できるように書かれている。そして「大全」を名乗る以上、それまでの神学において扱われたあらゆるテーマについて論じようという意欲作であった。
『神学大全』はトマス・アクィナスのライフワークであり、彼の生涯の研究の集大成であった。彼はそれまでに『対異教徒大全(Summa Contra Gentiles)』という書を書き上げているが、『神学大全』はその成果も踏まえて、より洗練されたものになっている。
トマス・アクィナスは主著『神学大全』において、スコラ哲学を大成しました。スコラ哲学とは、中世の学校(schola:スコラ)で形成され実践された学問のスタイルのことで、さまざまな著者のテキストを参照しながらその理論の矛盾や論点を抜き出し、組み合わせながら独自の見解を考察します。
12世紀から13世紀にかけての西欧では、神学の研究が大学を中心に隆盛をきわめました。アリストテレスをはじめとする哲学者や権威ある教父たちの著作の注解が書かれ、討論会が行われました。それとともに膨大な神学哲学の著作が著され、スコラ学は無益な煩雑化ももたらしたことから、トマスはそれらの問題を整理し、神学全体を簡潔にまとめあげた『神学大全』を著したのです。
全体の構成としては、第一部で、神による創造を描き、第二部で神へと向かう理性的被造物である人間の運動について描き、第三部で、神へと向かう際の道しるべであるキリストについて描くという構想に基づくもので、ネオプラトニズム的な発出と還帰の原理を超えて、聖書に記された出来事を理解するためのキリスト中心的、救済史的な世界観があった。
個々の部分の構成を見ると、基本的には次のようになっている。
まず、冒頭に問題(テーゼ)が提示される。例えば、「イエスは貧しかったということは彼にふさわしいことであるか?」という質問を例としよう。次に質問に対するいくつかの異論が挙げられる。異論は聖書や過去の大学者の引用によっておこなわれる。例えば、例に対しては「アリストテレスは中庸を重んじ、金持ちでも貧乏でもない中庸を選ぶのが最高の生き方であるとしている」などという具合である。
次に対論が提示される。これは異論に反対する見方である。例えば、「聖書によれば神は正しいことをされる方であるという。イエスが貧しい生き方をし、イエスが神であるなら、貧しい生き方は正しい生き方であったにちがいない」などである。
最後にこれらの流れを踏まえた解答が示される。解答は異論あるいは対論をそのまま採用したものではなく、全体を統合した解答になっていることが多い。つまり単純に異論を否定していないところに『神学大全』の面白さがある。たとえば例に対する解答では「中庸に生きることが最高の生き方であるというのは正しい。ただ、その理由は、贅沢に心奪われる、あるいは毎日の暮らしに汲々とすることで人生の目的を見失わないためである。イエスにとって人生の目的は神のことばをより広めることであった。そのためには貧しい暮らしのほうが動きやすかったといえる。」といった具合にまとめられる。
トマス・アキナス
イタリア
著者の概要
ジャンル
[
"哲学",
"西洋哲学",
"スコラ哲学",
"宗教学",
"西洋宗教学",
"西洋中世哲学",
"西洋古代・中世哲学"
]
著者紹介
中世ヨーロッパ、イタリアの神学者、哲学者。シチリア王国出身。ドミニコ会士。『神学大全』で知られるスコラ学の代表的神学者である。カトリック教会と聖公会では聖人、カトリック教会の33人の教会博士のうちの1人。