『 科学的管理法の原理 』
1911
その他科学
名著の概要
ジャンル
[
"科学",
"西洋科学",
"その他科学"
]
テーマ
科学的管理法
概要
フレデリック・テイラーが20世紀初頭に提唱した労働者管理の方法論を示した著書。テイラー・システムとも呼ばれる。現代の経営学、経営管理論や生産管理論の基礎のひとつである。
目次
内容
<課業管理>
「課業」の概念が、テイラー・システムの中核を成している。その原理は、次の五つである。
・課業の設定:1日のノルマとなる仕事量の設定である。これは、次項の「作業研究」に基づいて設定される。
・諸条件と用具等の標準化:使用する工具や手順などの諸条件を標準化することで、熟練工か未熟練工かにかかわらず、同条件で働かせるようにすること。このようにして“唯一最善の作業方法”を確立し、それを労働者全員に習得させ作業能率を向上させようとした。次項の「作業研究」と密接に関係する。
・成功報酬
・不成功減収:成功報酬、不成功減収は、出来高制賃金システムを改良したものであり、ノルマを達成した場合は単位あたりの賃金を割り増しして支払い、未達成の場合は単位あたりの賃金を割り引く。こうすることで労働意欲を高める。
・最高難易度の課業:課業を優秀な工員の仕事量に基づいて決めるということ。
<作業の標準化(作業研究)>
「作業研究」は、「時間研究(英語版)」と「動作研究」の二つからなる。
・時間研究:生産工程における標準的作業時間を設定し、これに基づいて1日の課業を決定するための研究
・動作研究:作業に使う工具や手順などの標準化のための研究
テイラーは、生産工程における作業を「要素動作」と呼ばれる細かい動作に分解し、その各動作にかかる時間をストップウオッチを用いて計測して標準的作業時間を算出する「時間研究」を考案した。優れた労働者を対象に時間研究を行って、課業管理を行った。
<作業管理のために最適な組織形態>
従来、内部請負制に基づいて現場が生産計画を決定していた。生産計画を現場から分離し、計画立案と管理の専任部署を作った。つまり「計画と執行(実行)の分離」を行った。また、そのための組織形態として、現代でいう「職能別組織」の原型を作った。
フレデリック・テイラー
アメリカ
著者の概要
ジャンル
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"科学",
"西洋科学",
"その他科学"
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著者紹介
アメリカ合衆国の技術者(技師、エンジニア)で、経営学者。科学的管理法の発案者で、現代においては「科学的管理法の父」と称される。
テイラーは科学的管理法の手法を考案し実践した事で、生産現場に近代化をもたらしたとともに、マネジメントの概念を確立した。
テイラー以前にも、フランス人のペロネやイギリス人のバベッジが、1800年ごろに時間設定の実践をはじめていたといわれている。しかし、「作業分割」を行い、要素ごとに「時間研究」を行うという方法を確立したのはテイラーである。