精神分析入門
『 精神分析入門 』
フロイト
1917
西洋近代心理学

名著の概要

ジャンル

[ "心理学", "西洋心理学", "西洋近代心理学", "近代心理学" ]

テーマ

精神分析について

概要

精神科医ジークムント・フロイトにより発表された一般向け講義をまとめた著作である。その構成は第1部「錯誤行為」、第2部「夢」、第3部「神経症総論」、そして精神分析入門の続編から成り立っている。

目次

内容

フロイトは精神分析の研究を講義するために錯誤行為の知見を導入する。錯誤行為とは意図した行為とは異なる行為を行ってしまうことである。 この現象を説明するためにフロイトは心理における葛藤のモデルを用いて錯誤の原因を明らかにしようとする。錯誤行為を心的行為であると把握すれば、錯誤行為は二つの意図の葛藤の表出であると考えられる。 つまり何かをしようとする意図が存在するにもかかわらず、それを抑圧することが錯誤行為を行う不可欠の条件である。 フロイトは続いて夢の分析を行っている。 夢をみる本人の心理には無意識の領域があると考えれば、夢と無意識との関係が問題となる。フロイトは夢を無意識的なものを歪曲した代理物として見なしており、夢を解釈する目的はこの無意識的なものを発見することと定められる。 そもそも夢は願望を直接充足させるものであり、同時にそれは歪曲されて表出されるものである。 つまり夢は睡眠を妨げる願望を幻覚的な充足により解決する心的作用である。 また神経症についての概説でフロイトは神経症の症状に対して精神分析のアプローチはどのような着眼点を提供するかを論じている。 精神医学にとって神経症は患者の無意識が発現したものであり、錯誤行為や夢のように意味があると考える。
フロイト
フロイト
オーストリア

著者の概要

ジャンル

[ "心理学", "西洋心理学", "西洋近代心理学", "近代心理学" ]

著者紹介

オーストリアの精神科医。神経病理学者を経て精神科医となり、神経症研究、自由連想法、無意識研究を行った。 精神分析学の創始者として知られる。 フロイトは、マルクス、ニーチェとならんで20世紀の文化と思想に大きな影響を与えた人物の一人である。しかし、彼の理論に対しては生前から批判も絶えず、彼の業績をどの程度評価するかは未だに議論の対象になっている。当時の常識とは180度異なる見解をとった意味で、コペルニクス、ダーウィンとも並び称される。 正常か異常かを問わず人間の心理は共通同一の原理で動いており、人の行動には無意識的な要素が作用していると考えることは、自身の合理性を疑わない19世紀の知識人を驚かせた。フロイトは、催眠状態での暗示によって、被験者が実験者の促した行動をとり、かつなぜその行動をとるのかしばらくわからずにいた事実から、「無意識」の行動における影響について着想を得たのだった。