純粋経済学要論
『 純粋経済学要論 』
レオン・ワルラス
1877
限界革命

名著の概要

ジャンル

[ "経済学", "西洋経済学", "西洋近代経済学", "限界革命" ]

テーマ

一般均衡について 限界効用について

概要

数理的方法を用いたワルラスの純粋経済学の理論は、発表当初はあまり評価されなかったが、20世紀になってから経済学者たちに評価され、ケインズやシュンペーターも言及している。ワルラスの研究の画期性とは供給、需要そして市場を概念化した上で自由競争において生じる一般均衡を明らかにしたことにある。

目次

内容

この著作によってワルラスは、一般均衡理論の父と考えられている。 ワルラスはその経済学大系を三分する。 現実の本質的な部分を抽出して再構成した(真理を示す)理論経済学を土台として、その論理的成果を利用して人々の経済的厚生を高める(効用を問題とする)応用経済学、更には人と人の関係を問題とする(正義に関わる)社会経済学である。 特に理論経済学の最大の目的は、自由競争が適用されるべき範囲を画定することだと言ってもよい。当時のセーの流れを汲む正統派経済学者たちが、根拠を示すことなく、あらゆる側面で自由放任主義を唱えることを強く批判している。 そこでワルラスが考える完全競争ではすべての市場で需給を一致させる競争均衡価格が実現する。 ワルラスは個々の商品市場における需要と供給が独立して部分的に均衡しているのではなく、ある市場での均衡が他の市場で価格変動があれば元の市場も不均衡となることがありうることを明らかにした。 つまり各々の市場とは相互依存の関係にあり、最終的にはあらゆる市場が均衡状態になる一般均衡を考察することを試みた。価格、供給、需要という変数は全て相互に影響を与え合っており、一つの変数の変化によって他の変数が連鎖的に変化するため、あらゆる市場で需要と供給が合致する可能性は極めて低いと考えられる。しかしワルラスは価格変動の原理によってそのような均衡が可能となることを明らかにした。
レオン・ワルラス
レオン・ワルラス
フランス

著者の概要

ジャンル

[ "経済学", "西洋経済学", "西洋近代経済学", "限界革命" ]

著者紹介

スイスのローザンヌ・アカデミー(後のローザンヌ大学)で経済学の教鞭を執ったフランス生まれの経済学者。 ヨーゼフ・シュンペーターによって「すべての経済学者の中で最も偉大」と評された。 経済学的分析に数学的手法を積極的に活用し、一般均衡理論を最初に定式化した。 また、限界効用を基軸とした経済理論を構築し限界革命を導出した主要人物として称される。 同時に、多くの財をふくむ市場全体における価格と需給量の同時決定をあつかう理論を「一般均衡分析」を構築した。 さらに政策面では、土地の国有化を提唱した。社会発展と共に地価は常に上昇していくが、私有財産制の下ではその収益は土地の所有者である地主に帰する。しかし、それは地主の活動によるものではなく、いわば社会の発展の成果を地主が独占することを意味するとした。