経済学および課税の原理
『 経済学および課税の原理 』
リカード
1817
古典派

名著の概要

ジャンル

[ "経済学", "西洋経済学", "西洋近代経済学", "古典派" ]

テーマ

経済について 経済政策について 課税について 価値について 貿易について 地代について 機械の影響について

概要

この著作では価値、地代、鉱山地代、自然価格、賃金、利潤、外国貿易の経済学的な特性を明らかにした上で、政府の課税がどのような影響を与えるかを論じている。特に比較優位理論による自由貿易の利益の論証、固定資本(機械)が導入されることによって労働者が失業する可能性、地代の形成が有名。

目次

内容

これまでの経済学の歴史において重商主義は貿易から得られる富を価値と見なしていたが、スミスは使用価値の概念を用いて貿易収支ではなく国内の余剰財を輸出し、国外の希少財を輸入することで富を増大させることが可能だと反論した。 リカードはこの使用価値の概念が定量的でないために交換価値の概念を提唱している。 交換価値とはその物品の価値が交換される金銭から価値を判断するものであり、その値はその物品を生産する費用と等しいとリカードは考えた。 したがってリカードは投下労働が交換価値を生み出すという投下労働価値説を確立した。 賃金についてはマルサスが『人口論』で論じたように、賃金が生存のために必要な費用を超過すると人口の超過が発生する見解を参照し、したがって賃金は生命維持に所要の財を購入できる程度に維持されるという賃金生存費説を論じた。 さらに地代に関しては土地生産性の地域間の差額は支払われるという差額地代論を論じ、ある地域の地代は他の地域との関係から左右されると考えた。 例えば資本家が10の利益が得られる土地があるにもかかわらず、8の利益しか得られない土地を使い、地主に地代を支払う場合が想定する。この状況において資本家は地代は利益のうち1だけを地代として支払うことが可能である。なぜなら、資本家は土地を移動することによって10-1=9の利益を得るために従来の8の利益よりも多くの利益を確保することが可能であるためである。 ここでリカードが指摘することは資本を蓄積して生産性の高い土地だけでなく低い土地も借りてしまうと、地代が増大して利潤率が低下してしまう事態が起こる。したがって、リカードは安価な穀物を国外から輸入し、地主を優遇しない経済政策を主張した。
リカード
リカード
イギリス

著者の概要

ジャンル

[ "経済学", "西洋経済学", "西洋近代経済学", "古典派" ]

著者紹介

自由貿易を擁護する理論を唱えたイギリスの経済学者。 各国が比較優位に立つ産品を重点的に輸出することで経済厚生は高まる、とする「比較生産費説」を主張した。 スミス、マルクス、ケインズと並ぶ経済学の黎明期の重要人物とされるが、その中でもリカードは特に「近代経済学の創始者」として評価されている その他以下の概念を創始または拡大させた。 リカードの等価命題 - 国債の発行は将来の増税を予想させるため、人々はこれを織り込み、消費を抑制するため、財政支出による経済効果は現時点で増税することと変わらないとする仮説。 賃金の鉄則 - 賃金を上げようとするいかなる試みにもかかわらず、労働者の実質賃金は生活できる最低のレベルの金額にとどまるだろう、という主張。 労働価値説 - 人間の労働が価値を生み、労働が商品の価値を決めるという理論。