総合哲学体系
『 総合哲学体系 』
ハーバード・スペンサー
1860
西洋近代社会学

名著の概要

ジャンル

[ "社会学", "西洋社会学", "西洋近代社会学", "哲学", "西洋哲学", "西洋近代哲学" ]

テーマ

社会について 社会の構造 社会発展について 社会進化について

概要

本書で社会発展を主題としており、社会進化論を基礎とした社会学の理論を提唱した。社会学の祖。

目次

内容

スペンサーの社会学では、有機体のメタファーを用いて社会を「システム」として把握し、これを、維持、分配、規制の各システムに分かち、社会システムの「構造と機能」を分析上の中心概念とする。そのため、社会有機体説と呼ばれる。この点で、現代社会学における構造機能主義の先駆とされる。 社会学とは宇宙が進化する終局としての社会有機体の原因と発達について研究する学問として定義し、それを社会の均衡を形態学的に研究する社会静学と、社会の均衡にいたる力を生理学的に研究する社会動学に分かれる。 そして有機体として社会が成立しているという把握に基づきながら個人の社会的な機能が相互に関連しながらある種の均衡状態を維持する社会状態を研究し、社会はコミュニケーションに基づいた協働で成立しており、社会の成員の意識は集合体の内部で散在していると特徴付ける。この散在する個々の意識を結合させて機能を分化させながら社会が連携している完全社会の状態をもたらすためには自由競争が必要であると論じた。 したがってスペンサーにとって社会の全体と個人の自由は矛盾せず結びついていた。 社会の変動はこの社会状態の変動であり、強制的な協働に裏付けられた軍事型社会の状態は自発的な協働に裏付けられた産業型社会へと進化すると考えていた。 軍事型社会では集権的な社会構造が成立しているものの、産業型社会では分権的な社会構造を備えていながら個々人が緊密に結合している。 スペンサーの見解において、産業型社会の具体例は19世紀の近代イギリス社会であった。スペンサーは本書で資本主義の理論を社会学的に捉えることを試みている。
ハーバード・スペンサー
ハーバード・スペンサー
イギリス

著者の概要

ジャンル

[ "社会学", "西洋社会学", "西洋近代社会学", "哲学", "西洋哲学", "西洋近代哲学" ]

著者紹介

イギリスの哲学者、社会学者、倫理学者。 『総合哲学体系』を35年かけて完成させた。 スペンサーの著作はかれの進化 (evolution) という着想に貫かれている。社会進化論という概念はこれらの著作から発している。スペンサーは人間社会が軍事的タイプから産業的タイプに進化していくとした。ポピュラーな用語「進化」と共に「適者生存 (survival of the fittest) 」という言葉はダーウィンではなく、社会進化論のスペンサーの造語である。 スペンサーは、オーギュスト・コントの実証主義と社会学思想に大きな影響を受け、社会学の創始者の一人としても有名である。スペンサーの社会学では、有機体のメタファーを用いて社会を「システム」として把握し、これを、維持、分配、規制の各システムに分かち、社会システムの「構造と機能」を分析上の中心概念とする。そのため、社会有機体説と呼ばれる。この点で、現代社会学における構造機能主義の先駆とされる。 なお、明治期日本では、スペンサーの著作が数多く翻訳され、「スペンサーの時代」と呼ばれるほどであった。