『 美学 』
1758
美学
名著の概要
ジャンル
[
"芸術学",
"西洋芸術学",
"美学",
"哲学",
"西洋哲学",
"西洋近代哲学"
]
テーマ
美学について
概要
「美学(aesthetica)」という概念を創始し、後世に決定的な影響を与えた西洋の古典。
目次
内容
ライプニッツとクリスティアン・ヴォルフの影響のもと、フランクフルト大学で行われた講義を基にしてラテン語で書かれた本書は、人間の認識を「悟性的認識」と「感性的認識」に分け、後者を扱うのが「美について考察する学」、すなわち「美学」だと明言した。あらゆる美学(エステティック)は、ここから生まれた。
英語aestheticsの語源であるラテン語aestheticaは、もともとギリシア語に由来する語だが、その本来の意味は「感性的なもの(の学)」である。バウムガルテンは、人間が行う認識を上級の「悟性的認識」と下級の「感性的認識」に分け、前者を扱うのが論理学であり、後者を扱うのが「感性的認識の学=aesthetica」である、とはっきり定義した。
では、なぜ「感性的認識の学」は「美学」になるのか。本書の冒頭では、aestheticaの「目的」は「感性的認識のそれとしての完全性」であり、「この完全性とは美である」と明言されている。だからこそ、「感性的認識の学」は「美について考察する学」にほかならない。
厳密な定義に基づく詳細な考察によって本書が切り拓いた地平がなかったら、カントの『判断力批判』やヘーゲルの『美学講義』によって展開されたその後の美学(エステティック)はそもそも生まれてくることがなかっただろう。このように決して無視できない重要性をもつにもかかわらず、広く読まれてきたとは言い難い西洋を代表する古典作品。
バウムガルテン
ドイツ
著者の概要
ジャンル
[
"芸術学",
"美学",
"哲学",
"西洋哲学",
"西洋近代哲学"
]
著者紹介
ドイツの思想家。ライプニッツからの伝統を受け継ぎ、「美学」の創始者として知られる。
バウムガルテンは1735年に提出した論文「詩に関する若干の事柄についての哲学的省察」において、次のように「美学」を定義した。
可知的なもの、すなわち上位能力によって認識されるものは論理学の対象であり、可感的なものは感性の学としての美学の対象である。
つまりバウムガルテンが提唱した「美学」とは、論理学が従来範疇としてこなかった下位認識能力を扱う学である。 しかし、1757年に発表した『形而上学』において、バウムガルテン自身がaestheticaの訳語に「美しいものの学」を充てている。したがって「美学」という訳語は、美学の提唱時の意味は失われているものの、バウムガルテンの意図は汲まれているといえる。