自然発生説の検討
『 自然発生説の検討 』
ルイ・パスツール
1861
生物学

名著の概要

ジャンル

[ "科学", "西洋科学", "生物学" ]

テーマ

細菌

概要

古代・中世のみならず近代に至ってもなお信奉されていた「自然発生説」すなわち物質から直接生物が生じるという考えを,根底からくつがえしたパストゥール(1822―95)の画期的論文。徹底した実証・実験主義の精神に支えられた彼の研究によって,近代微生物学の基礎が確立し,医学や伝染病学,発酵工学は飛躍的な発展をとげた。

目次

内容

自然発生説の否定 生物の自然発生を認める自然発生説は17世紀に一旦は否定されたものの、微生物の発見によってややこしくなった。微生物は外気から侵入したとしてもそれを見つけるのは難しい。完全に密閉すれば微生物の発生を妨げられることはわかっていたが、これに対しては空気が入らないために生命が発生できないのだとの反論があった。 パスツールは、色々な実験によって微生物は外気から侵入したのだと判断した。これを示すために彼が考案した、塵が入らないように工夫した「白鳥の首フラスコ」(いわゆるパスツール瓶)を使うと、煮沸して放置した肉汁は腐敗しないことを示した。このことから、腐敗した肉汁の微生物はすべて外界からの混入によるものであり、“生命は生命からのみ生まれる”という説を強く後押しした。 醗酵に関して 彼はアルコール発酵が酵母の働きによること、また酢酸発酵が別種の微生物の働きによることを確認した。それまでにすでに酵母は発見されていたが、発酵の要因とは考えられていなかった。つまり、発酵が微生物の働きであることを発見したのは彼によるものである。 実用的には葡萄酒が悪くなるのを防ぐために低温殺菌法を開発した。これは牛乳などの液体を60℃程度で数十分間加熱し、バクテリアやカビなどの微生物を殺菌する方法であり、現在にいたるまで広く利用されている。英語名パスチャライゼーションも彼の名に由来するものである。
ルイ・パスツール
ルイ・パスツール
フランス

著者の概要

ジャンル

[ "科学", "西洋科学", "生物学" ]

著者紹介

フランスの生化学者・細菌学者。 「科学には国境はないが、科学者には祖国がある」という言葉で知られる。「近代細菌学の開祖」とされる。 分子の光学異性体を発見。牛乳、ワイン、ビールの腐敗を防ぐ低温での殺菌法(パスチャライゼーション(Pasteurisation・低温殺菌法とも)を開発。 またワクチンの予防接種という方法を開発し、狂犬病ワクチン、ニワトリコレラワクチンを発明している。