自由からの逃走
『 自由からの逃走 』
フロム
1941
西洋近代心理学

名著の概要

ジャンル

[ "心理学", "西洋心理学", "西洋近代心理学", "近代心理学" ]

テーマ

自由について 個人について ファシズムの要因

概要

これはナチズムに傾倒していったドイツを考察したことから生み出され、国民は何が原因であのような状況となり、また何に導かれてあのように進んで行ったのかという内容である。ここでこのような状況を生み出すこととなった根源として考えられたのが「自由」である。

目次

内容

ファシズムの勃興を心理学的に分析した。 近代において発生した個人の自由がいかにして権威主義とナチズムを生み出したのかを丁寧に著述している。サディズムやマゾヒズムおよび権威主義を人間の自由からの「逃走のメカニズム」として分析し、現代において真のデモクラシーを保つための提言がなされている。「 自由からの逃避のメカニズム」として破壊性と機械的画一性も指摘している。思考や感情や意思や欲求は個人の自発的なもの由来ではなく社会や他人による影響の大きさ、そして自分自身が自分自身によって思考し感じ意思・欲求することの難しさも指摘している。 そして無意識による心理学によって社会的常識を破って個人や文化の分析をすることができると話す。
フロム
フロム
ドイツ

著者の概要

ジャンル

[ "心理学", "西洋心理学", "西洋近代心理学", "近代心理学" ]

著者紹介

ドイツの社会心理学、精神分析、哲学の研究者である。 マルクス主義とジークムント・フロイトの精神分析を社会的性格論で結び付けた。新フロイト派、フロイト左派とされる。 フロムの思想の特徴は、フロイト以降の精神分析の知見を社会情勢全般に適応したところにある。 フロムの代表作とも言える『自由からの逃走』ではファシズムの心理学的起源を明らかにし、デモクラシー社会が取るべき処方箋が明らかにされている。 自分自身の有機体としての生産性を実現する生活こそが、それらの危険な自由からの逃避を免れる手段だと説いた。フロムは、バールーフ・デ・スピノザと同じく「幸福は徳の証である」と考えていた。つまり生産的な生活と人間の幸福と成長を願う人道主義的倫理を信奉するとき、人は幸福になれるとした。 批判すべき点を批判したうえで、フロムはフロイトの業績に対して深い敬意を表している。フロムはフロイトを「アルベルト・アインシュタインやカール・マルクスと並ぶ近代の創始者の一人である」と結論付けている