花鏡
『 花鏡 』
世阿弥
1424
芸術論

名著の概要

ジャンル

[ "芸術学", "東洋芸術学", "芸術論" ]

テーマ

芸術について 美について 幽玄について 能について 演技論 演出論

概要

能芸論書。一巻。世阿弥著。応永三十一年(1424年)までに段階的に成立。『風姿花伝』以後、約二十年間の著述を集成したもの。

目次

内容

花鏡は世阿弥が父と別れてから四十年の間に、彼が体得し、開拓し得た芸術論を集成したものといえる。とくに「奧段」と呼ばれる最後の段は、芸の奥義として「初心忘るべからず」と記され、世阿弥の芸能論の精髄と評されている。 最初の能楽論《風姿花伝》に続いて,彼が40余歳のころからおよそ20年間にわたる芸得の神髄を書き連ねたもので,稽古に関する標語を表題として掲げた題目6ヵ条と,末尾の〈奥の段〉以外は〈……事〉と題する事書12ヵ条の計18ヵ条から成る。 「心を十分に動かして身を七分に動かせ」という心の働きへの注目 自分の舞い姿を客観視するための「離見(りけん)の見」といった発想 老境における「無心の能」という芸位の追究 「初心忘るべからず」の発想 「能は若年より老後まで習ひとほるべし」との稽古(けいこ)の強調 「命には終りあり能には果てあるべからず」として締める。
世阿弥
世阿弥
日本

著者の概要

ジャンル

[ "芸術学", "東洋芸術学", "芸術論" ]

著者紹介

日本の室町時代初期の大和申楽結崎座の申楽師。 父の観阿弥(觀阿彌陀佛)とともに申楽(猿楽とも。現在の能また歌舞伎の祖形ともいう)を大成し、多くの書を残す。観阿弥、世阿弥の能は観世流として現代に受け継がれている。 当時の貴族・武家社会には、幽玄を尊ぶ気風があった。世阿弥は観客である彼らの好みに合わせ、言葉、所作、歌舞、物語に幽玄美を漂わせる能の形式「夢幻能」を大成させていったと考えられる。 義満の死後、将軍が足利義持の代になっても、世阿弥はさらに申楽を深化させていった。『風姿花伝』(1400年ごろ成立か)『至花道』が著されたのもこのころである。