言葉と物
『 言葉と物 』
ミシェル・フーコー
1966
西洋現代哲学

名著の概要

ジャンル

[ "哲学", "西洋哲学", "西洋現代哲学" ]

テーマ

知について 学問について 認識について

概要

学問史を認識枠組みから捉えなおした画期的な名著。 時代ごとに基本的な「認識枠組(エピステーメー)」がある。そして認識枠組は徐々にではなく、突然、不連続に変化する。

目次

内容

時代ごとに基本的な「認識枠組(エピステーメー)」がある。同時代の学問は同じ認識枠組を前提にしているので、分野が異なっても同じ構造をもつ。認識枠組は徐々にではなく、突然、不連続に変化する。 まず中世の特徴は、記号とそれが表す事物とが同じ水準に属していること。世界そのものが一種の書物なのだ。このとき、何かがある事物の記号になりうるための条件は類似である。たとえば紐(ひも)が蛇を表す記号になるのは、蛇に似ているからだ。というわけで、中世の認識枠組の中心にあるのは「類似」。  近世においては、記号の秩序と事物の秩序は別の水準に分かれ、人は両者の間に対応を付けることで事物を認識する。記号は事物と似ている必要はない。地図は山や海に似てはいないが認識に役立つ。近世の認識枠組を特徴づけているのは、事物を鏡のように映すこの(記号との)対応、「表象」。  近代において初めて、事物の系列から記号の系列を分離し、同時に両者を関係づける蝶番(ちょうつがい)の働きを担うもの、つまりは認識し欲望し意志する「人間」が、認識の対象になる。 その人間も「波打ちぎわの砂の表情のように消滅するであろう」という一言で本書は閉じられる。
ミシェル・フーコー
ミシェル・フーコー
フランス

著者の概要

ジャンル

[ "哲学", "西洋哲学", "西洋現代哲学" ]

著者紹介

フランスの哲学者。 フーコーは、一連の活動により、「知と権力の関係」「知に内在する権力の働き」を説明した。 フーコーの思想においては、「絶対的な真理」は否定され、真理と称される用語や理念は、社会に遍在する権力の構造のなかで形成されてきたものであると見なされる。フーコーの思想においては、知の役割は「絶対的な真理」を証明することではなく、それがどのようにして発生し、展開してきたか調べる(知の考古学)ことにある。