資本主義・社会主義・民主主義
『 資本主義・社会主義・民主主義 』
シュンペーター
1942
西洋現代政治学

名著の概要

ジャンル

[ "政治学", "西洋政治学", "西洋現代政治学", "社会学", "西洋社会学", "西洋現代社会学" ]

テーマ

資本主義について 社会主義について 民主主義について

概要

本書では、資本主義の発展が不可避的に社会主義への移行をもたらすこと、ならびに民主主義の本質についての議論を展開している。

目次

内容

経済が静止状態にある社会においては、独創性あるエリートは、官庁化した企業より、未開拓の社会福祉や公共経済の分野に革新の機会を求めるべきであるとした。そして、イノベーションの理論を軸にして、経済活動における新陳代謝を創造的破壊という言葉で表現した。 また、資本主義は、成功ゆえに巨大企業を生み出し、それが官僚的になって活力を失い、社会主義へ移行していく、という理論を提示した。 民主主義については、18世紀の思想家の言う民主主義は、現実の有権者は公益の発見よりも消費者としての姿勢が強く、そのために責任感や論理的判断力、思考水準を低下させる傾向があるという。 このような民主主義理論の問題を解決するために、シュンペーターは、新しい民主主義理論を提唱する。それは、社会の種類や道徳的理想などではなく、一つの政治的方法であり、立法や行政における制度的枠組みである。そして、この民主主義が機能するためには、「政治家の高度な資質」「政治決断の有効範囲の限定」「官僚制の確立」「国民の民主的自制」の四つの条件が必要であると指摘する。 シュンペーターの民主主義論は資本主義と民主主義を切り離し政治体制の民主的性格を明確化したこと、つまり自由や平等という理念ではなく、代表を選出する選挙という制度として民主主義を定義したことである。
シュンペーター
シュンペーター
オーストリア

著者の概要

ジャンル

[ "政治学", "西洋政治学", "西洋現代政治学", "経済学", "西洋経済学", "西洋現代経済学", "オーストリア学派", "社会学", "西洋社会学", "西洋現代社会学" ]

著者紹介

オーストリア・ハンガリー帝国(後のチェコ)モラヴィア生まれの経済学者である。企業者の行う不断のイノベーション(革新)が経済を変動させるという理論を構築した。また、経済成長の創案者でもある。 イノベーションは、シュンペーターの理論の中心概念である。ちなみに、シュンペーターは、初期の著書『経済発展の理論』ではイノベーションではなく「新結合」という言葉を使っている。 イノベーションとして以下の5つの類型を提示した。 新しい財貨の生産 新しい生産方法の導入 新しい販売先の開拓 原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得 新しい組織の実現(独占の形成やその打破 イノベーションの実行者を「企業者(entrepreneur)」と呼ぶ。この意味における企業者とは、一定のルーチンをこなすだけの経営管理者(土地や労働を結合する)ではなく、まったく新しい組み合わせで生産要素を結合し、新たなビジネスを創造する者である。