道徳の系譜
『 道徳の系譜 』
ニーチェ
1887
宗教論

名著の概要

ジャンル

[ "哲学", "西洋哲学", "西洋近代哲学", "宗教学", "西洋宗教学", "宗教論" ]

テーマ

道徳とは何か 善と悪とは何か 責任とは 力への意志

概要

ニーチェ研究者からは、確固たる明敏さと力強さをそなえた作品であり、ニーチェの代表作であるとみなされている。「道徳の系譜」に影響を受けた人は、オスヴァルト・シュペングラー、ジャン=ポール・サルトル、ジークムント・フロイト、フランツ・カフカなどである。 また、ミシェル・フーコーは、この作品に影響を受け、狂気・性・懲罰について研究していた。

目次

内容

序言と三つの論文から成り、これら一連の論述を通して、道徳的諸概念の発展に関わる挿話を追っていくことによって、「道徳上の先入見」——とりわけキリスト教の道徳——を転覆することを目指す。 第一論文は「善と悪」であり、君主道徳と奴隷道徳の間の区別、ユダヤ教とキリスト教のうちに見出し区別する。 第二論文 「負い目」・「良心のやましさ」・その他であり、責任を中心に刑罰などについて考察する。ここでは力への意志が述べられる。 力への意志は、ニーチェの考えによれば人間を動かす根源的な動機である: 達成、野心、「生きている間に、できるかぎり最も良い所へ昇りつめよう」とする努力、これらはすべて力への意志の表れである。アドラー心理学には力への意思の概念が反映されている。 第三論文 禁欲主義的理想は何を意味するかである。
ニーチェ
ニーチェ
ドイツ

著者の概要

ジャンル

[ "哲学", "西洋哲学", "西洋近代哲学", "宗教学", "西洋宗教学", "宗教論" ]

著者紹介

ドイツ連邦・プロイセン王国出身の哲学者、古典文献学者。現代では実存主義の代表的な思想家の一人として知られる。 ニーチェはソクラテス以前の哲学者も含むギリシア哲学やアルトゥル・ショーペンハウアーなどから強く影響を受け、その幅広い読書に支えられた鋭い批評眼で西洋文明を革新的に解釈した。実存主義の先駆者、または生の哲学の哲学者とされる。 ニーチェは、神、真理、理性、価値、権力、自我などの既存の概念を逆説とも思える強靭な論理で解釈しなおし、悲劇的認識、デカダンス、ニヒリズム、ルサンチマン、超人、永劫回帰、力への意志などの独自の概念によって新たな思想を生みだした。 ニーチェの哲学がそれ以後の文学・哲学に与えた影響は多大なものがあり、影響を受けた人物をあげるだけでも相当な数になるが、彼から特に影響を受けた哲学者、思想家としてはハイデガー、ユンガー、バタイユ、フーコー、ドゥルーズ、デリダらがいる。1968年のフランス五月革命の民主化運動も、思想背景はニーチェだった。