
『 道徳感情論 』
1759
西洋近代哲学
名著の概要
ジャンル
[
"哲学",
"西洋哲学",
"西洋近代哲学"
]
テーマ
人間の本性について
感情について
道徳について
概要
今日のような秩序だった社会において人々は法の下で安心して安全な生活を送ることができるが、その根幹には人間のどのような本性があるのだろうか。『道徳感情論』において、スミスはこの問題に応えようと試みたスミスは社会秩序が人間のさまざまな感情が作用し合った結果として形成されると考えていた。
目次
内容
『道徳感情論』においてスミスが社会秩序の要因と考えた感情とは、端的に言えば同感である。スミスが重要視した同感とは、他人の感情および行為の適切性を評価する能力である。
スミスは、同感を通じて人々が自身の感情や行為が評価されていることを意識し、是認されることを望み否認されることを嫌っていると考えた。利害対立生じた際は、独立した中立的な基準が必要であり。この基準を公平な観察者と呼び、人々が具体的な誰かの視線ではなく胸中の公平な観察者の視線を意識しながら行動していると考えた。
ただし、偶然の下では、公平な観察者の評価と世間の評価とが異なる場合がある。スミスはこのような不規則性が社会的に重要な意味があると考え、偶然の下で公平な観察者の評価を重視する行為者を賢人、世間の評価を重視する行為者を弱い人と呼んだ。
人間は自己統制によって胸中の公平な観察者の声に従おうとするが、激しい情念の下では自己欺瞞によって公平な観察者の声を無視しようとする矛盾した存在である。
『道徳感情論』は自愛心を主張するものとしてグラスゴー大学におけるスミスの後任者トマス・リードなどによって非難され、かつてはスミスの主著として読まれることも少なかったが、現在ではこうしたスミスの思想は現代の神経科学者や行動経済学者からも注目されている。

アダム・スミス
イギリス
著者の概要
ジャンル
[
"哲学",
"西洋哲学",
"西洋近代哲学",
"経済学",
"西洋経済学",
"古典派",
"西洋近代経済学"
]
著者紹介
イギリスの哲学者、倫理学者、経済学者。18世紀のイギリス社会は政治の民主化、近代西欧科学の普及と技術革新、経済の発展といった「啓蒙の世紀」であった一方で、格差と貧困、財政難と戦争といった深刻な社会問題を抱えた世紀でもあった。光と闇の両側面を持つ18世紀イギリス社会はアダム・スミスの思想に大きく影響したとされる。